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■「つれてってカード」が普及した3つの理由(2)

 そして、「つれてってカード」が“使われるICカード”となっている三番目の理由としては、民間と共同運営していることで告知効果が高いことが挙げられる。

 駒ヶ根市など21地域で行われた「IT装備都市研究事業」を、経済産業省からの委託を受けて実施しているニューメディア開発協会によると、「今回の各地での実装実験ではICカードのシステム面は比較的順調だったが、、市民への告知・PRに苦労した自治体もあったようだ」(同協会の研究員で、同事業推進室プロジェクトマネージャーの遠山真氏)と言う。確かに、市役所や公共施設にポスターを張ったり、広報誌でPRする程度では、多くの人に知らせることはできないだろう。

 その点、駒ヶ根市はうまくいったようだ。2002年3月に実施された「つれてってカード」のアンケート結果を見てみよう。実は、IT装備都市実験に伴い、ICの仕様が変更されたため「つれてってカード」はすべて新しいものと交換されている。「カードが新しくなることをどこで知ったか」という質問への回答を見てみると、「市の広報」「信金の広報」「つれてってカード共同組合の広報」「有線放送」など様々な媒体で告知が市民の目に触れていることが分かる。商店街・金融機関・行政が連携しているカードだからこそ、このような多様な告知が可能になったのである。


「つれてってカード」利用者アンケートの結果(2)
赤穂信金、商店街、市と、それぞれが広報機能を果たしていることが分かる。

■カードの使い方を子供に考えてもらう

 「住民票などの証書発行の手続きが簡単になります」程度の、日常的な利用頻度の少ないサービスだけでは、おそらく行政ICカードは“使われるカード”にはならないだろう。それはそれでいい、という考え方ももちろんあるが、もし本当に“使われるカード”を目指すなら、ポイントカード、地域通貨といった機能や、カード利用者の証書発行手数料の割引など、目に見える形でのメリットが必要だろう。また、市民への告知・宣伝も重要になってくるはずだ。

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駒ヶ根市企画財政課 
課長補佐 小松政文氏
  その意味で、駒ヶ根市が導入しようとしている「エコポイントシステム」は興味深い試みである。エコポイントシステムとは、牛乳パックの回収、空き缶回収など省資源、循環型社会の構築に協力してくれた人にエコポイントを発行しようというもの。「流行りの地域通貨ね」と思う人もいるかもしれないが、駒ヶ根市のやり方はちょっとユニークだ。地元の小学校・中学校・高等学校の生徒にICカードを配布して「ポイントの発行方法や使い方を、学校ごとに一から子供たちに考えてもらおうと思っています」(駒ヶ根市企画財政課 課長補佐の小松政文氏)というのだ。

 子供たちにICカードの使い方を考えてもらうことで、「我々が考えつかなかったような面白いものができるのではないか」という期待と同時に、「子供のころからカードに親しんでもらい、できれば一生使ってもらいたい」という狙いもある。この一石二鳥を狙う思惑が成功するかどうかは未知数だが、ICカードのメリットを知ってもらい、それを普及させる方法として、注目に値するケースと言っていいだろう。