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 神奈川県藤沢市の「市民電子会議室」は、自治体のインターネット・コミュニティとしては最も成功している事例の一つと言っていいだろう。

 電子会議室をネット上に開設する自治体は多い(「市町村ポータル」内のリンク集「電子会議・電子掲示板のページ」などを参照)。しかし、発言もほとんどなく「閑古鳥が鳴いている」という例も少なくない。そんな中、なぜ藤沢市の市民電子会議室はアクティブに機能しているのか。そして、今後どのような方向を目指しているのか。今回のケーススタディでは、この2点について重点的にレポートする。

藤沢市の「市民電子会議室」。市民でなくても閲覧、発言ができる。
 藤沢市の電子会議室は、1997年2月に、「應義塾大学総合政策学部 金子研究室 VCOM」と「藤沢市産業振興財団」との共同実験としてスタートした。以来、アクセス数、発言数は毎年順調に伸びている。これまでに、98年の「インターネットアワード 地域活性化センター賞」、99年度「優良情報化団体自治大臣表彰」を受賞した実績がある。

 2001年4月(2001年度)からは“実験”の冠を取り、藤沢市の事業として本格的な稼働を開始した。2002年3月1日時点で、アクセス数は11万6757(2000年度は8万5438)、会議室の総発言数は1万2695(2000年度は8088)と、前年を大きく上回っている。

 なお、藤沢市の市民電子会議室が開設して以降の経緯について詳しく知りたい場合は、藤沢市による「藤沢市市民電子会議室の概要」などを参照するといいだろう。

■電子会議室での議論をまとめて市に提出

 まずは、藤沢市の市民電子会議室の仕組みについて簡単に説明しておこう。

 この市民電子会議室は、参加者が自由に開設できる「市民エリア会議室」と、市が議論のテーマを決めて開設する「市役所エリア会議室」の2つに分かれている。1997年7月に電子会議室システム「コミュニティ・メーカー」を導入(現在「コミュニティ・エディター」を使用)、それを機に会議室を用途にあわせて2つに分離したのである。

 市民エリアには、市民が立ち上げた様々なテーマの会議室がある。もちろん中には“動き”の少ないな会議室もあるが、「バリアフリーを考える」、「べびーず★かふぇ」(子育てに関する掲示板)、「ふじさわ自然通信」などを覗いてみれば、会議室が盛り上がっている様子がうかがえるだろう。会議室は、市内在住・在勤・在校者なら誰でも立ち上げることができる。閲覧と発言は、それ以外の人も含めて誰でも自由に行うことができるというルールだ(なお、発言だけは事前登録をしなければならない)。ハンドルネームでの発言もOKとなっている。

 もう片方の市役所エリアは、市政への新しい市民参加の場として設置された会議室である。話し合うテーマは、公募で選ばれた市民による運営委員会が決定する。市民エリア同様、閲覧、発言とも市民でなくても誰でも参加できる。ただし、市民エリアとは違って実名での発言がルールだ。

 この市役所エリアでの議論を、市政に反映させる仕組みがきちんと整備されているのが藤沢市の電子会議室の特徴だ。この電子会議室で出てきた意見を運営委員会がまとめ、藤沢市に提出する仕組みになっている(下図を参照)。もちろん、意見のすべてが反映されるわけではないが、藤沢市側も出された提案についてはきちんと回答をすることになっている。

電子会議室で議論された意見を、運営委員会がまとめ、市に対して提案する。
さらに詳しい市政への提案の反映手順はこちら


 提案と回答はインターネットでも公開されている。2001年度の例では「鵠沼プールガーデン跡地利用」について、決定までの策定プロセスを市民に情報公開することなど3つの提案が出され、藤沢市側はそれぞれについて回答している。