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 最近、SCM(サプライチェーン・マネジメント)改革の取り組みを取材する機会が多い。日経情報ストラテジー7月号(5月24日発売)では、サッポロビールの取り組みを掲載する予定である。サッポロビールといえば、第3のビールと呼ばれる分野を開拓した「ドラフトワン」が人気だ。この4月の販売量も前年同月比9.6%増と好調を維持している。この勢いを支えているのが2000年から取り組んでいるSCM改革である。

 サッポロビールはドラフトワンの年間販売量を発売当初は1000万ケースと予想していた。だが予想に反して1815万ケースまで販売量が伸びた大ヒット商品となった。急激な伸びを示すと欠品を起こしがちだが、欠品も不良在庫なく乗り切った。生産サイクルを月次から週次に変え、毎週の生産計画に販売実績を取り込んで修正を加えられる体制を作ったからである。

 生産計画を立てるうえでは、需要予測が重要だが、ピタリと当たることは少ない。いかに近づけるかで多くの担当者が悩んでいる。同社は予測と実績のブレを最小限に抑えることを狙ったわけだ。

 新体制の生産計画ではシステムが過去と直近の販売実績を勘案して16週間分を自動計算する。過去の実績は、過去4年の平均ではなく似たトレンドを示している年ものを利用する。どの年の実績を活用するかは担当者のスキルにかかっている。大半の製品はシステムが提示した計画をそのまま活用できるというが、欠品や不良在庫を起こしかねない製品は担当者の判断力が重要となる。特に新製品は実績がないため、発売直後の動きをみてこれまでの経験と勘から「そろそろ増産しないと間に合わないな」といった判断をして欠品を防いでいるケースがある。このノウハウは、ベテランの担当者から若手へと受け継がれていくという。

 日本の企業社会では、団塊世代の大量退職が間近に迫っている。「2007年問題」だ。設計や生産現場では数値化できないベテランのノウハウをどう継承するか各社知恵を絞っている。映像でベテランの動きを記録したり、設計支援システムにノウハウをためておきだれでもベテランと同じ設計図を描ける仕組みを構築したりする動きがある。

 需要予測も同様だろう。過去に担当者が欠品を起こさずにうまく乗り切れた例などをためて、予測が難しいといわれる新製品でもだれが予測しても欠品や不良在庫のない仕組みづくりが早急に必要になっている。

西 雄大=日経情報ストラテジー