非同期通信などを含んだ高度なWebサービスの実現に向け,ソフトウエア・ベンダーの主導権争いが活発化している。米IBMは7月23日,HTTP通信の信頼性を高める拡張技術「HTTPR(リライアブルHTTP)」のドラフト仕様をWebサイト上に公開した。世界中の技術者からのフィードバックを集め仕様の完成度を高め,最終的にIETF(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース)などの標準化団体に提案するねらいがある。

 HTTPRは,HTTP/1.1をベースに通信の信頼性を高める拡張仕様である。Webサービスの中核技術の1つであり,XML(拡張可能マークアップ言語)の伝送プロトコルであるSOAP(簡易オブジェクト・アクセス・プロトコル)は,現在のところHTTP上で利用する場面が多い。しかし,HTTPの通信メカニズムには,伝送したメッセージの紛失を防ぐ機能や,2重配送を防ぐ機能,メッセージの配達順序を保証する機能がない。TCP/IPには,再送など一部,信頼性を高める機能が組み込まれているが,それだけではHTTPレベルのメッセージのやりとりには不十分である。そのため,確実なメッセージの通達やトランザクションなど,信頼性のある処理を実現することが難しいという問題がある。

 HTTPRでメッセージを伝送すれば,目的のアプリケーションに1度だけ配達する,あるいは配達しない--といういずれかの状態に絞られる。そのため,メッセージの送信元アプリケーションでは,通達内容に応じて,メッセージの再送や処理のロールバックなどを実施できる。

 SOAPの伝送に信頼性を与えるための技術としては,ほかにもマイクロソフトが「SOAP-RP(SOAP Reliable Messaging Protocol)」を開発中。SOAP-RPはSOAPの拡張仕様であるため,HTTPなどのトランスポート・プロトコルに依存しないという特徴がある。マイクロソフトはいまのところSOAP-RPの仕様を公開していない。(H.J.)