米IBMは5月9日,J2EE(Java2プラットフォーム,エンタープライズ版)アプリケーション・サーバーの新バージョン「WebSphere Application Server5.0(以下,WebSphere5.0)」を2002年7月31日に出荷すると発表した。WebSphere5.0では,J2EE1.3に完全準拠し,「Apache AXIS」やパフォーマンス・チューニング機能などを新たに搭載した。

 WebSphere5.0では,XML(拡張可能マークアップ言語)データの伝送プロトコルであるSOAP通信に対応したソフトウエア「Apache AXIS」を搭載する。Apache AXISは,Apache SOAP2.xの後継にあたるオープン・ソースのソフトウエア。Apache SOAP2.xはWebSphere4.0に搭載されているが,これとはまったく別のアーキテクチャを採用している。例えば,Apache AXISではSOAPメッセージの生成/解析にSAX(XML用の簡易API)を使用する。SAXでは受信中のSOAPメッセージを先頭から逐次処理するため,SOAP通信を高速に実現できるようになった。Apache SOAP2.xはDOM(文書オブジェクト・モデル)をベースにしており,SOAPメッセージの受信を完了してから処理を開始していた。

 パフォーマンス・チューニングを自動化する機能も搭載される。具体的な動作としては,アクセス数が増加したり,JVM(Java仮想マシン)で使用可能なメモリーの残量が少なくなったりすると,新たなJVMを自動的に起動し,負荷分散する。これにより,管理者が意識しなくても,サーバー・マシンのメモリーを有効利用し,プログラムを高速に実行できる。どのプログラムをどのJVMで実行するかなどは,管理者が意識しなくても済む。現行バージョンであるWebSphere4.0でも,1台のサーバー・マシン上で複数のJVMを起動し,各JVM上でプログラムを動作させることはできたが,管理者が個別に設定する必要があった。

 また,耐障害性を保ちつつ高速化を図るため,クラスタリング機能を強化した。WebSphere5.0を稼働させているサーバー・マシンのメモリー上で管理されているセッション情報を,クラスタ内で同期できるようになった。WebSphere4.0の場合,クラスタ内でセッション情報を共有するには,単一のデータベースで管理する必要があり,性能を発揮できない原因になるケースがあった。

 そのほか,ネットワークのエッジに近い部分でより多くのデータをキャッシュできる「Dynacache」を搭載した。例えば,サーブレット,JSP(JavaServer Pages),EJB(エンタープライズJavaBeans),Webサービスなどの処理結果がキャッシュ可能になった。規定のメモリー容量を超えたキャッシュ・データをディスクに書き込んで蓄えたり,分散したキャッシュ間でデータをレプリケーションしたりすることもできる。(H.J.)