MSP(マネージメント・サービス・プロバイダ)のアイティーマネージ(以下,ITマネージ)は,アプリケーション・サーバーの性能監視用ツールを独自開発し,8月12日,このツールを使ったアプリケーション・サーバー監視サービスを開始した。サービスの料金は,監視対象のアプリケーション・サーバー上で稼働するJava仮想マシン(JVM)数で決まり,1VM当たり月額11万円である。

 今回ITマネージが開発した監視ツールは,米BEAシステムズの「WebLogic Server」向けのEJB(エンタープライズJavaBeans)コンポーネント。協力先のイーシー・ワンが要求仕様を定義。ITマネージが開発した。同社のサービスに利用するほか,システム・インテグレータなどに向けて,EJBコンポーネント単体でも販売する。価格は10万円である。

 厳密には,監視ツールはサーブレットとEJBコンポーネントの2つで構成される。EJBコンポーネントは,アプリケーション・サーバー上のJava管理用拡張(JMX)から,各種リソースの利用状況の情報を取得する。監視項目としては,例えば,EJBコンテナ内にキャッシュされているEJBコンポーネントの数,Java仮想マシン用に割り当てたメモリー(ヒープ・サイズ)の全容量と空き容量,データベース接続のコネクション・プールの数--などが挙げられる。これらのリソース情報は,アプリケーション・サーバーの性能を直接表しているわけではない。ただ,リソース情報を把握することで,アプリケーション・サーバーの性能上,どこにボトルネックがあるかを判断する材料になる。EJBコンポーネントは,取得した情報をXML(拡張可能マークアップ言語)文書のレポートに書き出す。監視端末は,XML/SOAP要求を使ってレポートを取得する。SOAPメッセージはHTTP(またはHTTPS)上でやり取りされるため,ファイアウォールが介在する場合でも,監視の通信は通過させられる。

 EJBコンポーネントとは言っても,リソース使用状況などの情報を呼び出す手順は,アプリケーション・サーバー製品によって異なる。このため,今回開発したツールはWebLogic Server専用。WebLogic用以外にも,すでに米IBMの「WebSphere」用のEJBコンポーネントも開発中で,近く,追加発表する見通しだ。
(Y.K.)