マクニカは8月26日,ダイナミック・コンテンツの配信を高速化するツールを発売した。米国のベンチャ企業であるワープ・ソリューションズが開発した「WARP 2063」である。動的に生成されるWebコンテンツを一時的に保存するための大容量メモリーを搭載したキャッシュ・サーバー・アプライアンス製品である。同様のキャッシュ製品は,カナダのスパイダ・ソフトウエアなどいくつかのベンダーが提供しているが,アプライアンス製品は珍しい。

 ダイナミック・コンテンツは,ユーザーからのアクセス要求に応じてWebサイト上で動的に生成されるWebページやそのコンポーネントである。個人用にパーソナライズされたWebページや,株価情報など時刻とともに内容が変化するページ,バックエンドのデータベースを参照して商品の在庫数を表示するページなどが代表例である。最近では,こうしたダイナミック・コンテンツが次第に増えつつある。しかし,ダイナミック・コンテンツを使ったサイトでは,アクセス要求を受け付けるたびに,データベースの参照やアプリケーション・サーバーでのページ生成といった処理が発生する。Webのバックエンド・システムの負荷が高まれば,サイトのパフォーマンス劣化を招きやすい。サーバーの処理能力を高めれば,パフォーマンスを維持することは可能だが,アクセス数が増えるたびにシステムの増強を余儀なくされ,コストも膨らむ。

 そこで威力を発揮するのがWARP 2063のようなダイナミック・コンテンツ向けのキャッシュ・サーバーだ。動的に生成されるWebページ,あるいはWebページの部品をキャッシュする専用ツールである。一般に,動的コンテンツは,静的なコンテンツに比べて,再度アクセスされる可能性は高くないと考えられている。このため,従来のキャッシュ・サーバー製品は,情報の新鮮さを維持するために動的コンテンツはキャッシュ対象からはずすのが一般的だった。しかし,コンテンツの内容によっては,コンテンツが変化しないほんの短時間だけでも,同じページに対して多数のアクセスを受け付ける場合がある。WARP2063は,こうした動的Webページをキャッシュするためのアプライアンス。アプライアンスであるため,ネットワークやWebシステムの構成・設定はほとんど変更せずに,容易に導入できる。

 WARP 2063の動作概要はこうだ。まず,2063に同こんされるプラグイン・ソフトをWebサーバーにインストールし,動的Webページを提供するURLを指定しておく。Webサーバーがアクセス要求を受け取ると,プラグインが動作し,2063を参照する。2063は4Gバイトのメモリーを搭載したハードウエアで,動的コンテンツはすべて,そのメモリーに一時的に格納する。コンテンツがキャッシュされていれば,データベースにアクセスすることなく,ユーザーに応答を返す。このため,エンドユーザーへのレスポンスを向上させられると同時に,データベース・サーバーやアプリケーション・サーバーのシステム・リソースを有効活用できる。コンテンツがキャッシュされていない場合や,2063に障害がある場合は,通常通り,ページ生成のプロセスが動作する。

 さらに,キャッシュされたコンテンツは,大きく分けて3つのタイミングで廃棄される。ダイナミック・コンテンツは,情報が頻繁に更新される場合が多いため,(1)クライアント側からのデータのPOST,(2)「10秒ごと」などコンテンツごとに設定した有効期限(TTL:Time To Live),(3)バックエンド・データベースの更新--である。こうした仕組みにより,コンテンツをキャッシュしても,ダイナミック・コンテンツの新鮮さを保てるようになっている。

 ただ,価格は国内では1400万円と高価。よほどの大規模システムを運用しているユーザーでないと,なかなか手が出ない。この点について,ワープのグローバル・セールス担当副社長であるブライアン・マズケ氏は,「高いパフォーマンスを実現するためにデータベース・サーバーなどを増設することを考えると,データベースのライセンス料とハードウエアの合計価格は優に1500万円を超える。2063を導入することで,逆にコスト・ダウンを図れる」と説明する。
(Y.K.)