三菱電機と同社系列の通信事業者であるアイピートークは9月25日,携帯型のIP電話機「モバイルIP Talk」を発表した。アイピートークは,2003年度の早期にも,この携帯IP電話を使ったサービスを始める予定。モバイルIP Talk同士,またはモバイルIP Talkとすでにサービス提供中の固定版IP Talkとの間の通話料金には,定額料金を設定できるとしている。また,一般の電話機との通話も可能にする予定である。
モバイルIP Talkは,IEEE(米国電気電子技術者協会)802.11b形式の無線LAN,またはPHSを使う。モバイルIP Talk本体に,コンパクト・フラッシュ(CF)型の無線LANカードまたはPHSカードを装着すればよい。CFカードのドライバは,大手ベンダーの製品に関してはアイピートークが開発し,モバイルIP Talkに同こんする。ISPへの接続アカウントさえ持っていれば,どのISPからインターネットに接続しても通話できる。インターネット接続用の設定は,本体の操作だけで実行できるようになっている。
ローミング環境に向けた機能も備えている。モバイルIP Talkには,三菱電機が独自に開発した「HCAP」というHTTPベースの会議アプリケーション・プロトコルが実装されている。HCAPでは,モバイルIP Talk端末は数秒間隔で,通話のセッションを管理するサーバー(アイピートークが設置)にアクセスして,その時点のグローバルIPアドレスを通知する。このため,通話の途中でIPアドレスが変わっても,そのまま通話を継続できる。
ただし,今回公開した電話機は開発段階のもので,ユーザー認証の仕組みなどはまだ実装されていない。つまり,ISPへの接続認証などはまだ実現できてない。今後,提携する通信事業者をさがしながら,提携先にあったユーザー認証のしくみを実装していく。また,市販されている携帯電話機と同様に,ブラウザやメール・ソフトを搭載する。802.11aや802.11gといった無線LANの規格にも対応させていく予定もある。(Y.Y.)