NTT情報流通プラットフォーム研究所は,ストリーム配信したコンテンツの品質を,配信側でチェックするためのソフトウエア「視聴品質情報管理システム(LSS-SQM)」を開発した。配信サーバーに導入する。OSのイーサネット・ドライバをLSS-SQMのものと置き換えて,ストリーミングの制御プロトコルをドライバのレベルでトラック。それを基にユーザーがどの程度の品質で動画を再生できているかを推測する。クライアント側には特別なソフトをインストールする必要がない。

 ストリーミングの場合,動画などのコンテンツを配信しても,配信する前に想定していた品質でユーザーが視聴できるとは限らない。ネットワークが混雑してパケットが届かなかったり,配信サーバーの負荷が高いためにパケットの送信が遅れたりするため品質が劣化してしまうからだ。しかし,その場合でも,劣化したことを配信者側が把握するのは難しい。

 NTTが開発したLSS-SQMは,この配信したコンテンツ品質を推測するためのツールである。配信するサーバーに導入する。どのユーザーがどのくらいの品質でコンテンツを視聴しているかが,ある程度わかる。しかもほぼリアルタイムに調べることができるため,何らか問題があった場合に,配送経路を変える,サーバーをチューニングするなどの対策を講じやすい。

 LSS-SQMは,ストリーム配信の制御プロトコルを監視することでコンテンツの品質を判断する。一般にストリーミングでは,実際にコンテンツ・データを配信するプロトコルのほかに,コンテンツの再生や停止,巻き戻し,早送りなどのコマンドをやり取りするための,制御プロトコルを使っている。Real MediaではRTSP(リアル・タイム・ストリーミング・プロトコル),Windows Media Technologiesでは独自のプロトコルである。LSS-SQMは,配信サーバー側でこの制御プロトコルのやり取りをキャッチし,それを基に,「コマ送りになっている」「音声しか届いていない」といったユーザー側でのコンテンツ品質を推測する。たとえば,クライアントからデータの再送要求が何度も来る場合は,品質が悪いと判断できる。ユーザーのIPアドレスや再生時間と照らし合わせれば,どのユーザーがコンテンツのどの場面でコマ送りになっていた,などがわかる。この機能を応用すれば,ユーザーの行動分析にも役立つ。

 配信サーバーでも制御プロトコルのログをとることは可能である。しかし,コンテンツの再生を開始,再生停止などの操作記録や,トータルでどのくらいのパケットをロスしたか,といった簡単な記録しか残らない。これでは,品質の推測するには材料不足である。一方LSS-SQMは,やり取りされるすべてをトレースして判断材料にする。トレースした情報は,あらかじめインストールしてあるエージェント・アプリケーションが,別サーバーにあるSQMマネージャとよばれる管理ツールに転送。管理者は,SQMマネージャ上で品質状況や視聴回数などをグラフなどを使って分析する。複数の配信サーバーのパケットやり取りを把握できるうえ,配信サーバーへの負荷も小さい。

 対応するOSはWindows 2000 Server。サポートしているストリーム形式は,Real Media,Windows Media Technologies,MPEG-2である。今後はNTTが,ストリーミング配信サービスや,SI案件に活用していく方針である。(T.F.)