サン・マイクロシステムズは11月1日,データ・センター向けの新構想「N1」の技術要素とロードマップを日本国内で公開した。N1については,すでに米国で9月18日に発表されていたが,具体的にどのような技術で実現していくのかは明らかにされていなかった。

 N1は,データセンターなどに向けた新たなシステム・アーキテクチャと,それを実現するために必要な技術群。サンが目指しているのは,データセンター内や企業内に多数あるサーバー,ストレージ,ネットワーク機器などのリソースを仮想的な1つのシステムとして扱えるようにする仕組みを実現することである。こうしたシステム・アーキテクチャを採用することで,アプリケーションの負荷に応じてリソースを動的に割り当てるなどの運用が可能になる。このため,リソースの利用率を向上させられるうえ,データセンターやユーザー企業の管理者のシステム運用にかかる負担を軽減できる。

 このような処理を実現するには,大きく2つの基盤が必要になる。(1)ハードウエア仕様,OSの種類,ソフトウエアの機能情報,実際の負荷状況といったリソースの情報を取得する仕組み,(2)収集した情報に基づいて処理を各コンピュータ・リソースに適切に振り分ける仕組み,である。(1)の基盤になるのは,サンが1998年に発表した分散システムのフレームワーク「Jini」である。(2)の基盤になるのは,サンが2001年からオープン・ソース化し,10月30日に最新バージョンである5.3の提供を始めたリソース管理ツール「Grid Engine」である。Jiniには,ルックアップ(Lookup)サーバーと呼ぶ管理サーバーに問い合わせるだけで,ネットワークに接続した機器が備える機能情報や,機器を利用するためのドライバ・ソフトなどを取得できるようにする仕組みがある。この機能を使い,リソースの情報を入手可能にする。また,Grid Engineには,複数のリソースを1台のコンピュータとして仮想化し,その管理下にあるリソース上にアプリケーションを配信したり,アプリケーションを実行させたりする機能がある。この機能により,処理の振り分けを実現する。

 なお,サンは当面,データセンター内および企業内でのサーバー管理の効率化に焦点をあて,3段階に分けてOSやアプリケーション・サーバーなどの機能拡張を図る。まず第1段階として,2002年末までに,リソースの割り当てと変更を支援する「仮想化エンジン」を開発。この仮想化エンジンを組み込んだブレード・サーバーを,2002年12月から2003年1月に米国および日本で発売する。この製品を利用すると,プレゼンテーション層(Webサーバー)とビジネス・ロジック層(アプリケーション・サーバー)の物理的なサーバー構成を抽象化できるようになる。2003年には,第2段階として,データベース層(データベース・サーバー)の抽象化に対応する。また,仮想化エンジンで管理したリソースに,アプリケーションなどを動的にインストールする機能を追加する。2004年には,第3段階として,管理者が設定したポリシーに基づいて各サービスのQoS(サービス品質)を保つ仕組みを取り入れる。こうした基本的な仕組みが整った後,企業間やデータセンター間でサーバー管理を効率化していく仕組みを取り込んでいく。(H.J.)