インターネットイニシアティブ(IIJ)は,ルーターの運用・管理を容易にするためのシステム「IIJ SMF(SEIL Management Framework)」を開発した。ブロードバンド・ルーターをネットワークに接続すると,自動的にサーバーから設定情報をダウンロードして設定する仕組みを備える。企業などのシステム部門が,全国に配置されたルーターを管理するという手間を大幅に軽減できる。2003年6月から販売するほか,IIJがサーバーを運営してルーターを設定するサービスを自社ユーザー向けにも提供する。今回発表したのはフレッツ・ADSL,Bフレッツを利用するユーザー向けのシステムである。
SMFは,ブロードバンド・ルーターである「SEIL」(ザイルと読む)と,各SEILの設定情報を一元管理する「uSUPサーバ」(SUPはザップと読む),uSUPサーバの所在とそのuSUPサーバが設定情報を持つSEILの対応を管理するiSUPサーバで構成されている。iSUPサーバはIIJが運用,管理している,いわばルート・サーバーである。
SEILをネットワークに接続すると,iSUPサーバにアクセスし,自分のシリアル番号を通知し,アクセスすべきuSUPサーバの所在情報を取得する。uSUPサーバは,IIJやSMFを利用するインテグレータや通信事業者がそれぞれ構築,運用する。SEILの設定は,ネットワークに接続してから数分程度で済む。
初期導入だけではなく,故障などによる交換も容易になる。新しいSEILを発送し,uSUPサーバ上でそのシリアル番号を登録するだけでよい。導入済みのSEILの設定を変更する際も有効である。uSUPサーバで設定変更を指示すると,SEILの設定を変えることができる。
また,SEILに,パケット・フィルタリングや帯域制御,VPNなどの機能を,ネットワーク経由で追加できる。SMFを利用するユーザーには,SEILで動作するアプリケーションを開発するためのAPIが提供される。これを使えば,SEILに配信するプログラムなどを開発できる。価格は個別見積もりである。(T.F.)