日本IBMは2月26~28日に東京都内で開催したプライベート・ショウ「IBM Forum 2003」の会場で,サーバーの負荷の変化を事前予測して自律的に負荷分散を制御する技術「HotRod」の研究成果を公開した。HotRodは米IBMのワトソン研究所が開発した技術で,一般に公開するのは今回が世界で初めて。同社が推進するコンピュータを自律的に制御可能にする「オートノミック・コンピューティング」と呼ぶ技術体系の中で,最も進んだ研究成果といえる。製品化の時期などは未定。

 HotRodの特徴は,Webサーバーに対する負荷の変化を予測して,処理するWebサーバーの台数を自動的に調整してくれる点にある。実際に負荷が上昇し,Webサーバーの応答速度が遅くなってからサーバー台数を増やすのではなく,負荷が上昇しそうな気配を察知し,あらかじめ台数を増やし,負荷分散装置の設定を変更してアクセスを振り分けてくれる。これにより,管理者の手作業による設定変更や,サーバーの準備が間に合わなかったことに起因した応答速度の低下/ダウンなどを防げる。いったん立ち上げたWebサーバーは,負荷が減った段階で自動的に停止させてくれる。

 HotRodでは現在のところ,負荷の変化を2つの観点で予測している。1つは,過去の実績から分析する長期予測,もう1つは,直前の負荷状況から分析する短期予測である。長期予測は,過去のアクセス数の統計情報をもとに,例えば月曜の始業時間前後にアクセスのピークがくるなどの経験則を導き出し,適切なサーバー資源をそのタイミングで確保/解放するというもの。これに対して短期記憶では,数秒間隔で取得した負荷の差分情報をもとに数分後の負荷状況を予測して,即座にサーバーの資源を確保/解放する。

 HotRodにはアプリケーションのインストールといった機能はないため,処理を振り分けるサーバーにはあらかじめソフトウエアをインストールしておく必要がある。とはいえ,「必要なOSやアプリケーションなどを事前にNAS(ネットワーク・エリア・ストレージ)などで集中管理しておき,ブレード・サーバーをネットワーク・ブートさせるなどの方法で,必要なOSやアプリケーションを自動的に切り替えることは可能」(大和ソフトウェア開発研究所 パフォーマンス技術の山本 勝義氏)という。(H.J.)