アドビシステムズは2003年5月15日,Adobe Acrobatの最新版「Adobe Acrobat 6.0日本語版」を発表した。7月4日出荷を開始する。Acrobat6.0の大きな特徴は,PDFファイルにアニメーションや動画・音声などのマルチメディア・ファイルを埋め込むことができこと。Flashアニメーションや,Windows MediaやRealPlayer,QuickTime形式の動画データ,MP3形式のサウンド・データなどを埋め込める。併せて発表した閲覧ソフトの新版「Adobe Reader」で再生できる。
新版では,ターゲット・ユーザー層に分けて一般ビジネス・ユーザー向けの「Adobe Acrobat 6.0 Standard 日本語版」とエンジニアリング分野向けの「Adobe Acrobat 6.0 Professional日本語版」を提供する。いずれも,マイクロソフトの製品との連携を強化した。たとえば,PDFを,レイアウトを維持したままWordやExcel形式のファイルとして,ボタン1つで保存できるようになった。従来ならば,コピー&ペーストでテキスト情報しか渡すことができなかった。閲覧ソフト上でPDFに追加した「注釈コメント」を,そのままWordに渡す機能を備える。
また,WordやExcelのように,Internet Explorerにもツール・バーにPDF作成用のアイコンを表示できるようにした。そのアイコンをクリックするだけで表示しているWebページをPDFとして保存できる。WebページにFlashやWindows Media形式のコンテンツが埋め込まれている場合,そのままPDF化でき,閲覧ソフト上で再生することが可能である。
このほか,Microsoft Officeで作成したファイルのアイコンを選択して右クリックでPDFに変換する機能や,紙の書類をスキャンしてPDF化する際,書類に書かれたテキストを自動認識するOCR機能などを備える。右クリックでPDFに変換する機能では,複数の異なるアプリケーションで作成された文書ファイルを選択して,1つのPDFファイルにまとめることもできる。
Professionalでは,エンジニアリング系のアプリケーションとの連携を強化していることが特徴。「AutoCAD」や「Microsoft Visio」などのアプリケーションからボタン1つで,開いているデータをPDFに変換できる。
Adobe Readerは,6月中旬にアドビシステムズのWebサイトで公開する予定である。
対応OSはStandardがWindows 98/2000/NT4.0/XP,Windows XP Tablet PC Edition,Mac OS 10.2.2以降。ProfessionalがWindows 2000/NT4.0/XP,Windows XP Tablet PC Edition,Mac OS 10.2.2以降。価格は,Standardが3万4800円,Professionalが5万4800円。(H.O.)