富士通研究所米フジツウ・ラボラトリーズ・オブ・アメリカは10月6日,電子商取引の交渉を自動化する技術を開発したと発表した。人間が設定した“取引戦術”に基づいて交渉作業を実施するプログラム「自動交渉エンジン」と,自動交渉エンジン同士で提案と応答を繰り返して合意点を探り出すプロトコル「Automated Negotiation Protocol(ANP)」で実現する。

 この技術を使うと,人間では判断に迷うような複雑な取引条件があっても,システム同士が自動的に条件提示を繰り返し,合意点を導き出せる。例えば,A社:「明日までに納品できるかできるか?」,B社:「難しい」,A社:「納品してくれれば定価の5%割り増しでも構わない」,B社:「10%割り増しなら,何とかする」--といった交渉を自動化できる。

 自動交渉エンジンには,あらかじめ取引する内容に応じて,どのように交渉するかという情報を入力しておく。例えば,交渉相手から送られてきた提示を,どのような尺度で評価するかという評価関数を設定する。評価関数には,制約条件も記述できる。例えば,「期限」や「上限金額」などの固定値のほか,「現在の在庫数」のような変動値を別のシステムから取得して利用することもできる。特定の提案があったときに,別の提案で切り返すといった交渉術も定義できる。

 自動交渉エンジンは,入力された評価関数に基づき,ANPで決められた書式でXMLデータを生成。交渉相手の自動交渉エンジンに送る。XMLデータの送信には,例えばXMLデータを送受信するためのプロトコル「SOAP」などが使える。

 従来から,特定のシステム同士を自動的に連携させることは,XML(拡張可能マークアップ言語)を基盤とするWebサービス技術の利用で,ある程度は可能だった。しかし現実には,取引条件の精査/交渉,契約可否の判断などを,人間が実施しなければならなかった。人間による交渉や判断は,機械(コンピュータ)と比べて柔軟性が高いメリットはあるが,取引条件が複雑化するほどにスピードは遅くなり,コストも高くつく。このため,いったん取引条件を決めてしまうと,見直すことが難しくなるという実情もある。今回の技術を使えば,機械が毎回取引条件を交渉してくれるため,その都度最適な合意点を導き出せる可能性がある。

 策定したプロトコル仕様は,Webサービス関連の仕様を策定する国際的な標準化団体に提出する予定。2004年中の標準化を目指している。(H.J.)