KDDIは10月10日,光ファイバを利用した新サービス「KDDI光プラス」を開始した。主にマンションなどの集合住宅を対象にしたサービスで,NTTのダーク・ファイバを使って,NTTの収容局からマンション棟までを最大1Gビット/秒で接続。このネットワーク上で,IP電話の「光プラス電話」,インターネット接続の「光プラスネット」,IP放送の「光プラスTV」という3種類のサービスを提供する。光プラスTVのみ,サービス開始は12月。
光プラス電話の特徴は,現在のNTTの電話番号がそのまま利用できることや,110や119といった緊急通話なども可能なこと。さらに、割り込み通話(月額300円)や発信者番号通知(月額400円)などのオプション・サービスも用意する。通話料金は,光プラス電話加入者またはKDDI-IP電話加入者同士は無料。一般加入電話や他社のIP電話の加入者との通話は国内一律3分8円で,NTTの通話料金3分8.5円(市内通話)より安い。月額基本料金は1980円。
光プラスネットは,マンション内各戸への分配にVDSL(超高速ディジタル加入者線)を使う。既設の電話回線ながら最大70Mビット/秒と高速なアクセスが可能なことが特徴である。「他の事業者では,10M~15Mビット/秒のものが多い。マンション向けでは最高速」(ブロードバンド・コンシューマ事業本部 ブロードバンド企画部長の片岡 浩一氏)という。月額基本料金は3900円。なお,ほかのサービスとセットで契約すると,料金が割引になる。光プラス電話と光プラスネットをセット契約した場合,月額基本料金は約1300円の割引で4550円である。
多チャンネル放送とビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを提供するのが光プラスTV。KDDIと松下電器産業が共同開発したSTB(セットトップ・ボックス)を使い,既存のテレビで視聴できる。ビットレートが4Mビット/秒のMPEG2配信により,DVD並みの映像品質を実現しているという。多チャンネル放送では28チャンネル,VODでは約200作品を用意している。VODの視聴料金は1作品当たり100~400円。ただし,光プラスTVは,単独では契約できない。光プラス電話や光プラスネットとセットで契約する。3メニューのセットは,月額基本料金が6950円。
KDDIは,今回のサービスのために専用の高速ネットワークを構築した。全国のKDDI拠点間を10Gビット/秒以上で接続。KDDI拠点からNTT収容局間を2.4Gビット/秒以上で結んでいる。また,光プラスTVで高品質な映像を配信するために,IPマルチキャストと優先パケット制御の技術を採用した。(H.O.)