ネットワークバリューコンポネンツ(NVC)は,2001年夏にも米Webエバーの広域負荷分散ツール「Distributed Web Deployment」(DWD)を発売する。いわゆるコンテンツ・デリバリ・ネットワークを実現するためのソフトウエアで,ブラウザから最寄りの複製サーバーを見つけ出し,そこにアクセス要求を転送できる点が特徴である。価格は未定。

コンテンツ・デリバリは,ネットワーク上の複数の場所にコンテンツを複製/キャッシュし,ユーザーにとって最寄りのサイト(複製サーバーやキャッシュ・サーバー)からコンテンツを提供することでレスポンスを向上させるしくみ。広域負荷分散ツールは,ユーザーに最寄りのサイトを見つけ出してアクセス要求を振り分ける機能を実現する。DWDは,Webサーバーに搭載するエージェント・ソフト。これをさまざまなロケーションに分散配置した各ミラー・サーバーに搭載しておくと,サーバー間でWebコンテンツを自動的に配信,管理する。それぞれのサーバーのCPU使用率,サーバーが接続するネットワークのトラフィック量といった情報をやり取りし,それぞれのサーバーの負荷状況を一元的に監視する。

ユーザーから見た動作はこうだ。ユーザーはオリジナルのWebサーバーにアクセスすると,WebサーバーはWebページの応答を返す前に,ブラウザに対して専用のJavaScriptを返信する。このJavaScriptとWebサーバー(厳密にはDWD)が,その間の往復時間などを自動的に測定・計算し,DWDに結果を返す。DWDは,この計算結果をもとに,そのブラウザに一番近い場所にあるミラー・サーバーを検出。HTTPリクエストを転送(リダイレクト)する。こうすることで,ユーザーは,ネットワーク上のどこに接続していても,的確に最寄りのミラー・サーバーからコンテンツを取得できる。このため,現状で主流になっている広域負荷分散の手法が抱える弱点を解決できる。また,DWDがコンテンツの所在を管理しているため,コンテンツの一部だけを複製している場合でも,ユーザーにWebページ(HTMLファイル)を返信する前にリンク情報を自動的に書き換え,オブジェクトごとにアクセスを振り分けられる。

現状では,多くの広域負荷分散ツールは,DNS(ドメイン名システム)サーバーとして動作する。ユーザーがWebサイトにアクセスしようとすると,ブラウザはまずユーザー側のDNS(ローカルDNS)に当該WebサイトのIPアドレスを問い合わせる。ローカルDNSが,最終的にWebサイト側にある広域負荷分散ツール(DNS)にIPアドレスを問い合わせると,広域負荷分散ツールは問い合わせてきたローカルDNSに一番最寄りと判断できる複製サーバーのIPアドレスを返信する。ただ,この方法は,ユーザーとローカルDNSが近くにある場合に限って効果が出る。例えば,ダイヤルアップ接続で使うISPが用意するDNSは,日本国内で1,2カ所の場合が多く,これでは最寄りの複製サーバーは探し出せない。DWDは,DNSではなく,ブラウザから最寄りのWebサーバーを探すため,ネットワーク上のどこからアクセスしても,最寄りのサイトからコンテンツを取得できる。ただし,各サイトにはDWDのエージェント・ソフトをインストールする手間は避けられない。 (Y.K.)