伊藤忠商事系のオンライン専業証券である日本オンライン証券(東京都中央区)と三和銀行系のイー・ウイング証券(東京都中央区)が,2001年4月1日に合併することで正式に合意した。合併後の社名はカブドットコム証券で,日本オンライン証券のオフィスとWebサイト(http://www.kabu.com/)を引き継いで営業する。新会社の会長には日本オンライン証券の藤島久則社長が,社長にはイー・ウイング証券の小早川真希雄社長が就任する。合併比率は日本オンライン証券1株に対してイー・ウイング証券株0.97株を割り当てる。存続会社はイー・ウイング証券になる。

 合併発表の席では「新会社の出資構成も,伊藤忠グループと三和銀行グループが同額になるようにする」(小早川社長)と対等合併を強調したが,実態はイー・ウイング証券が顧客を日本オンライン証券に預けたに等しい。日本オンライン証券のある経営幹部は「今回の合併の結果株主と口座数が増えただけ。経営のやり方は現在とそれほど変わらない」と断言する。両社のシステム統合は,使い勝手の良さで定評がある日本オンライン証券の現行システムに,イー・ウイング証券の顧客データを移管する形で行う。加えて新会社のサービスは日本オンライン証券のものをほぼ踏襲するため,経営の主導権も日本オンライン証券が握ることになりそうだ。30歳前後の“ネット証券オタク”数人が集まりベンチャー的に生まれた日本オンライン証券に対して,イー・ウイング証券の従業員は三和銀行やつばさ証券出身の人材が中心。旧来の証券業界の常識が通用しないネットビジネス業界で,力を発揮するのは困難だったようだ。

 2000年12月末の口座数は両社とも約3万口座。4月以降ネット専業の投資銀行であるウィット・キャピタル証券(東京都港区)の個人向け株式売買部門を譲り受けるため,合併時の口座数は約7万口座になる見込みだ。今後は,収入の柱となる株式売買手数料の体系をどちらにあわせるかが問題になる。約定代金が1000万円までの取引で見ると,イー・ウイング証券は手数料1500円だが,日本オンライン証券は最低2万円と大きな開きがある。システムやサービスと同様に日本オンライン証券の体系にまとめてしまうと,格安の手数料に魅力を感じていた顧客を大量に失いかねない。日本オンライン証券の斎藤正勝取締役は「合併後の手数料体系については検討中」としており,収益と顧客満足度のバランスをいかに取るかで苦慮していることを伺わせる。

(河野 修己=日経ネットビジネス編集)