「不登校の子供たちにネットで教育機会を」
オンライン教育のアットマーク・ラーニング理事長に聞く

 アットマーク・ラーニング(東京都渋谷区)は2000年4月以来、ネット上で“バーチャル高校”を運営する。同社の「アットマーク・インターハイスクール」には、通常の高校教育に飽き足らない生徒たち約100人が在籍している。理事長の日野公三氏に、オンライン教育の成果を聞いた。

――どのような生徒が集まってくるのでしょうか。

 米国で一般的な、「ホームスクール」と呼ばれる形態の学校を運営しています。当社の場合はオンライン専業なので、全国から生徒が集まってきます。

 絵の勉強をする時間を確保するために通常の高校に行かなかった子供、学区の高校の人間関係に合わなかった子供など事情は様々です。中には、社交性が乏しく通常の高校になじめないといった、精神的問題を抱える生徒もいます。

 子供たちに一人ひとりにヒアリングした上で、彼らの興味を引き出す学習プログラムを作っています。基本的にはWebと電子メールで学習し、目標達成度に応じて単位を与える仕組みです。既存の高校教育システムからこぼれてしまう子供たちのやる気を引き出したいと思っています。

――ネットならではの成果は出てきましたか?

 不登校の問題を抱えた、ある生徒が1年ほど前に入学しました。彼は親に連れられて入学面談をした時にも、おどおどとして話したがらなかったくらいなのですが、メールでの粘り強い対話で、徐々に教師に心を開いていきました。最近、彼が50ccバイクの免許を取ったと聞き、うれしく思っています。自らの意志で自動車学校に通い、社会の仲間入りの第一歩をしたわけです。

――今後の課題は?

 3月までに生徒数は170人に増える見込みで、徐々に認知が進んだものと喜んでいます。課題はやはり、国内の高校卒業資格が得られないことです。

 日本で高校を設立するためには、「全生徒を一度に収容できる体育館などの建物がなければいけない」といった、細かな規定があります。例え学習内容を通常の高校と同じにしたとしても、オンライン専門の我々にそんな金はありませんし、必要もありません。制度の改善にはまだ時間がかかるでしょう。

 当社ではその代わりとして、米国ワシントン州の高校卒業資格を提供しています。やむを得ぬ措置なのですが、最近は米国の大学留学を目指して、入学する生徒も多くなってきました。

(聞き手は本間 純=日経ネットビジネス)