東京・西麻布の人気レストラン「Furutoshi」では今年1月末から、店員が客の携帯電話に手のひらに収まるほどの大きさの器具を差し込む光景が時々見られるようになった。この器具は、日本トレードワークス(東京都千代田区)が製造、販売している「Xnavi」。携帯電話に接続するだけで、電話番号と電子メールアドレスを自動的に“吸い出す”機能を持っている。

 Xnaviを携帯電話機の底面にある充電コネクターに差し込むと、あらかじめXnaviに登録した名前、電話番号、電子メールアドレスを自動的に書き込む。と同時に、接続した携帯電話のメール送信機能を立ち上げて、電子メールにその電話機固有の電話番号とメールアドレスを書き込み、任意の宛先に送信する。利用する企業から見れば、顧客の携帯電話への自社情報の書き込みと、顧客情報の取得を同時にやってくれる非常に便利な機械なのだ。日本トレードワークスの木村裕亮社長は「小売りでは9800円、法人向けには台数に応じて価格を設定している。現在はiモード向けだけだが、他社の携帯電話向けも開発中だ」と話す。

 Furutoshiはまず10台を導入した。古里太志オーナーは「100人分ほどのデータが集まった段階で、新メニューなどの情報を定期的に送るサービスを始めたい」と話す。Furutoshi以外にも、顧客との関係作りに携帯電話を活用している企業がXnaviに注目し始めている。例えば、タクシー大手のエムケイ(京都市北区)は東京地区で営業している全車両約100台にXnaviを備えて、顧客からの指名注文を増やそうと狙っている。また、ビデオレンタルの大手企業も導入を検討しているという。

 携帯電話に無差別にメールを送りつけるいわゆる“迷惑メール”が横行したことが、Xnaviにとっては追い風となっている。迷惑メール受信を防ぐため、メールアドレスを変更する携帯電話ユーザーが続出した。企業にとっては、せっかく集めた顧客情報が無効になってしまった。無効アドレスを多く抱えたままメールの一斉送信を行えば、迷惑業者と判断されて携帯メールを利用できなくなる恐れもある。顧客が来店したときに了承を得た上でXnaviを使い顧客情報を更新すれば、こうした問題を回避できるというわけだ。

(河野 修己=日経ネットビジネス)