2月19日、日産自動車とNTTドコモは、自動車のIT(情報技術)化を目指す「テレマティクスサービス」の実現に向けて、共同で検討することを発表した。NTTドコモは、FOMAなどを利用したモバイルマルチメディアサービスや通信インフラを、日産自動車は情報提供のための機器・システムや「HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)」の技術を提供する。

 今回の検討内容は、(1)FOMAなど第3世代の移動通信サービス等を活用した車載機の開発、(2)情報プラットフォームなどの開発、(3)自動車への情報提供サービスや自動車の情報を利用したサービスの開発、(4)国内ビジネスの展開と普及促進、の4項目。これらによって、ユーザーは自動車に搭載した端末などを通じて、最寄りのレストランやガソリンスタンドを検索したり、店舗でのドライブスルーの決済や、好きな楽曲のダウンロードなどができるようになる。また、損害保険会社や警備会社などと連携したサービスも検討する。走行時間、距離、車載カメラが撮影した画像など自動車自身の情報などを損保会社へ送信し、保険の契約や事故の交渉の効率化のほか、自動車の盗難防止などにも役立てる考えだ。

 両社は今回の検討を基に、2003年以降、地図データと各種情報を連携させたネットワークナビゲーションサービスを順次開始する。2004年には、他業種との連携でさらにビジネスを拡大していく計画だ。EC(電子商取引)の決済や、放送、無線LAN、ITS用の通信規格「DSRC」など他のインフラと連動したサービスも視野に入れている。

 会見の席上、NTTドコモの立川敬二社長は「動く物をいかにIT化するかが、非常に重要だと考えている。今後は自動車用のサービスをより多く提供したい」と語り、日産への期待を表した。これに対して日産のカルロス・ゴーン社長は、「ストレスのないドライビングと、車内で簡単に情報が入手できる豊かなカーライフを実現したい。(テレマティクスは)人々の生活をより豊かにしていくソリューションと考えている」と語った。

 また、「排他的なサービスを目指していない」とゴーン社長が述べるように、今回は両社共にオープンな環境で開発を進める意向だ。「FOMAを共通のインフラと考えて、他社にも提供していきたい。また、他の移動体通信事業者との競争の中で、利用者が選択するような環境になればいい」(立川社長)。

 実は既に日産はテレマティクスサービスの実用化に動いており、来週発表する新型マーチから「カーウイングス」と呼ぶ情報サービスを実施する。これは専用の情報端末に携帯電話をつなぎ、ネットワーク経由で現在地付近の天気予報やタウン情報、渋滞情報などを配信するサービス。日産のパトリック・ペラタ副社長は「車載端末の価格を5万円以下に抑え、情報提供料も月額数百円と安価なのが他社のサービスとの違いになる」と見ている。

(田中 久美子=日経ネットビジネス)