東京地方裁判所は4月9日、PtoP型のファイル交換サービス「ファイルローグ」を運営する日本エム・エム・オー(日本MMO、東京都八王子市)に対し、音楽CDからMP3形式などで作成された著作権付きの音楽ファイルについて、事実上の交換停止を命じる仮処分を決定した。2002年1月29日に、日本レコード協会(RIAJ)に加盟する国内のレコード会社19社と、日本音楽著作権協会(JASRAC)が日本MMOを相手取った仮処分申請を認める内容だ。

 日本MMOは2001年11月1日に、PtoP型のファイル交換サービス「ファイルローグ」を開始した。これは米ナップスター社の「Napster」と同様に、ユーザーが所持する音楽ファイルなどの一覧をサーバー経由で公開し、ユーザー同士が無料で交換できるものだ。RIAJとJASRACはファイルローグのサービス開始以前から、著作権侵害を理由に日本MMO側に運用停止を求めていた。

 この仮処分を受けて、日本MMOは4月16日にファイルローグのサービスを全面停止する。日本MMOの松田道人社長は「MP3ファイルだけを交換できないようにするのは、技術的に間に合わない。ファイルローグのサービスはすべて止めざるを得ない」と語る。

 ただし、サービスは停止するが、今回の決定を不服として東京高裁に抗告する。日本MMOの代理人である東京平河法律事務所の小倉秀夫弁護士は「今回の決定には驚きを禁じ得ない。東京地裁は仮処分決定の中で、日本MMOがMP3ファイルなどの送信可能化を主体的に行っていると認定した。これは大きな誤認だ。このままでは金輪際、業者がPtoPサービスを日本で提供することができなくなる」と語る。

 一方、RIAJは富塚勇会長名で「東京地裁の決定は、誰もが納得する『常識』に則ったもの。『我々はファイル交換の場を提供しているだけで、これを利用して著作権のある録音楽曲を無断で送信・録音させたりするのはユーザーの責任であり、ツール提供者の責任ではない』と日本MMOは抗弁していたが、これは社会常識に反する詭弁であることが、米国のナップスター判決と同様、日本の司法の場においても明確に断定された」とのコメントを発表した。

(永井 学=日経ネットビジネス)