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 「エレクトロニクスとハリウッドの両方が分かる人材を、ネットワークサービスを推進する新組織のトップに据えた。本格的にハードとコンテンツが連携したビジネスモデルの構築を推進する」--。ソニーの出井伸之会長は、5月14日に開催した経営方針説明会の席上で強調した。

 出井会長が期待をかける新組織とは、4月1日に設立したブロードバンド関連事業を統括する「ネットワークアプリケーション&コンテンツサービスセクター(NACS)」のこと。トップには、野副正行上席常務を据えた。野副上席常務は、米国へのエレクトロニクス製品の導入や米ソニーピクチャーズ・エンタテインメント社の共同社長などを、歴任してきた人物である。

 具体的にNACSは、パソコン「VAIOシリーズ」や家庭用ゲーム機「プレイステーション2」などのハードに、ソニーが権利を所有する映画や音楽などのコンテンツを流通させるビジネスモデルの構築を目指す。野副上席常務は「例えばハリウッドのコンテンツを、So-netを通じて流したらどうなるかを考えるのが使命」と語る。

 こうしたビジネスモデルは、プロバイダーの「So-net」のほか、「Edy」や「eLIO」といった非接触ICカードを使った決済サービスなど、ソニーの“プラットフォーム”の活用を前提に構築している。既に一部のVAIOには、ネットからダウンロードした音楽や録画したテレビ番組などを、他のVAIOに無線LAN経由で配信する「ホームサーバー機能」が搭載されている。2002年秋からは、テレビ「WEGA」などのネット家電にも、VAIOからコンテンツを配信できるようにする。インターネット経由でVAIOにビデオ録画の指示を出す、録画したものをテレビ画面で再生する、といった使い方が可能になる。
 
 さらに、2003年春にはWEGAにもホームサーバー機能を搭載するほか、2003年秋からは携帯電話やPDA「CLIE」がピア・トゥ・ピアでコンテンツをやり取りできるサービスも始める計画だ。ソニーは今まで、「インターネットを使って、ハードとコンテンツが融合したサービスを提供する」と宣言してきたが、まだ十分な成果は上がっていない。新組織でブレイクスルーのきっかけをつかめるかどうかが注目される。

(大竹 剛=日経ネットビジネス)