北海道岩見沢市は、6月上旬から市立図書館内で電子書籍サービスの提供を開始する。図書館で電子書籍が閲読できるサービスは、日本で初めて。

 岩波書店(東京都千代田区)の出版する岩波文庫のうち、著作者の許可を得た109作品について、電子書籍の配信サービスを行うイーブック イニシアティブ ジャパン(東京都千代田区)が電子データ化する。書籍データは市のネットワークセンターのサーバーで保管・配信され、利用者は図書館内に設置されたパソコン内にある専用ビューワーで、読みたい書籍を選んでその場で閲覧できる。管理・配信システムは、ハドソンが構築した。

 料金は年間定額制。閲覧できる作品数とそれぞれ同時アクセスできるライセンス数をあらかじめ決定し、それに応じた金額を岩見沢市からイーブック イニシアティブ ジャパンに支払う。またその中から、月々の閲読数に応じた著作権料が、岩波書店経由で著作者に配分される仕組みだ。

 イーブック イニシアティブ ジャパンの鈴木雄介代表取締役社長は「従来の図書館は、書籍を保管するためのスペースとコストが問題だった。電子化されればこれらが解決し、紙の劣化という問題もなくなる」と電子書籍のメリットを説明する。今後は、閲覧できるタイトル数を増やすと同時に、「このサービスを全国の図書館に広めていきたい」(鈴木社長)考えだ。

 なお同サービスに関して、東洋文庫などを出版する平凡社(東京都文京区)も、参入する意向を示している。だが「著作権問題について何人かの著者が難色を示しており、まだ調整中の段階」(齋藤文雄取締役)となっている。

(田中 久美子=日経ネットビジネス)