東京放送(TBS)やフジテレビジョン、全国朝日放送(テレビ朝日)が共同で設立した、ブロードバンド向けのコンテンツ配信会社トレソーラ(東京都港区)は8月30日、3カ月間の期間限定サービス「Chance!@トレソーラ」(http://www.tresola.com/)を9月1日に始めると発表した。
Chance!@トレソーラの最大の特徴は、過去の数多くのテレビ番組を、そのままネットワーク配信すること。「高校教師」や「ケイゾク」、「トリック」などのドラマや、クイズ番組の「なるほど!ザ・ワールド」、音楽番組の「夜のヒットスタジオ」、バラエティー番組の「オレたちひょうきん族」、「欽ちゃんのどこまでやるの!」など、毎月50~60本をブロードバンド向けに配信する。
既に、日本テレビ放送網系のビーバット(東京都千代田区)や、テレビ東京系のテレビ東京ブロードバンド(東京都港区)が、ブロードバンド向けに動画コンテンツの配信を試みている。しかし両社はこれまで、既存のテレビ番組をほとんどネットワークで配信してこなかった。既存のテレビ番組は、著作権などの権利処理をネット配信を想定して実施していないため、ネットで配信するには改めて権利保有者に許諾を得る必要があり、その権利処理のルールが整備されていないからである。
トレソーラのサービスも、まだ権利処理の問題を解決したわけではない。期間限定の実験として権利保有者に協力を求め、権利処理のルールが決まった段階でそのルールに従って権利料を支払うようにしたことで、多くの人気番組のネット配信にこぎ着けた。トレソーラは、実験サービスを通じて番組視聴者の性別や年齢などを分析し、ビジネスモデルを検証する。
Chance!@トレソーラの番組を視聴するには、インターネット・サービス・プロバイダーの「OCN」「ドリームネット」「So-net」「AII」の接続会員になるか、コンテンツ視聴用の会員になればよい。基本料金は月額1000円。「月光仮面」など一部の番組については、追加料金を支払う必要がある。
サービス企画部の宮澤徹チーフストラテジストは、「月額1000円で権利料やサーバーの運営コストなどを賄えるわけではない。相当なコスト割れとなるが、ユーザーが支払える金額としては1000円が限度。まずは実験として第一歩を踏み出した」と、苦しい台所事情を打ち明ける。また事業化の時期についても、「権利処理のルールが整備されないと難しい」(原田俊明社長)と、今のところ見通しが立っていないことを明らかにした。