米ビジネス誌「Forbes」のWebマガジンを展開する米フォーブス・ドットコム社は9月1日、広告主のブランド認知に効果を発揮しなければ広告費を払い戻すという、新手のネット広告の販売を始めた。同社は、米業界団体のインタラクティブ広告協議会(IAB:Interactive Advertising Bureau)の主要会員でもある。来日した同社のウィリアム・フラットリー最高広告責任者に、米国のネット広告事情について聞いた。

――ブランディングを目的とした新手のネット広告の販売を始めたが、その狙いは何か。

 これまで広告主は、ネット広告を自社サイトの誘導やキャンペーンへの応募といった消費者からのダイレクトレスポンスを期待して利用してきた。しかし今、広告主の間では、企業や商品のブランド認知にネット広告を役立てようという気運が広がりつつある。フォーブス・ドットコムが新たに「Brand Increase Guarantee」という広告メニューを用意したのは、こうした広告主のニーズに応えるためだ。新メニューは、60日間広告を露出する場合で10万ドル。効果検証は米ダイナミックロジック社が担当し、「ブランド認知」「購買意欲」「好感度」「メッセージ連想」の4つの項目のうち1つでも向上が見られなければ、広告費を全額払い戻す。

――米国では、こうしたブランディング目的のネット広告のメニューは増えているのか。

 まだ多くはないが、今後増えていくだろう。テレビやラジオ、新聞、雑誌など既存メディアだけではリーチできない消費者が確実に広がっている。しかし、既存メディアとインターネットを組み合わせたキャンペーンを展開すれば、こうした層にもブランドを認知させることができるからだ。

――今年1月、IABはネット広告の表示回数などを測定する手法を業界で標準化した。こうしたIABの取り組みは、メディアミックスを意識したものか。

 その通り。これまでネット広告は、媒体サイトや配信会社によって測定手法がバラバラだった。このため、広告主にとってはネット広告の効果を判断しにくく、メディアミックスを展開するにも既存媒体との比較が難しかった。ネット広告はまだ誕生して間もない。しかも、変化のスピードは非常に早い。IABとしては、ネット広告業界で様々な標準を策定し、それを普及させることで、インターネットの効果的なマーケティング活用を推進していきたい。

――2002年第1四半期の米国のネット広告市場は15億5500万ドルで、前年同期比に比べて18%も減少した。厳しい状況だが、今後の見通しは。

 ネット広告は不景気を反映して低迷している。しかし、ユーザーの数や利用頻度はこれからも向上していくので、成長することには間違いない。携帯電話向けのネット広告で先行している日本のWeb広告研究会など海外の組織とも協力しながら、パソコン向けのネット広告だけにこだわらず、ネットを使ったすべての双方向メディアの広告市場を活性化していきたい。

(聞き手は大竹 剛=日経ネットビジネス)