地上波放送とディジタルBS放送における「マスメディア集中排除原則」の緩和策を検討している総務省は2002年12月9日に,このテーマを議論している同省の「放送政策研究会」の場で緩和の具体策を打ち出した。研究会が2003年2月にまとめる予定の報告書のたたき台になるものである。地上波放送については,地方局に対する規制を大幅に緩和することを求めた。
ディジタル放送に対応するために全国の地上波放送事業者は,1社当たり平均で45億円とされる多額の設備投資が必要になる。重い投資負担に耐え切れず,経営が悪化する地方局が出てくる恐れがある。こうした地方局を制度面から支援するために総務省は,集中排除原則を緩和することにした。今回の具体案をみると,「地方局の経営基盤を強化し,地方局同士の合従連衡を後押しする」という総務省の狙いは理解できるが,実際に対応が必要になった時の機動性の面で改善の余地があるようだ(詳細は日経ニューメディア2002年12月16日号に掲載)。