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 「モバイル・ソリューションを活用するカギは,現状の携帯電話の機能やサービスの進展度合いを正しく捉えることにある」――。東京ビッグサイトで開催中の「NET&COM 2005」のITソリューションセミナー「最新モバイルソリューション,その現状と将来展望」で講演したNTTデータのビジネス開発事業本部 モバイル&ICメディアビジネスユニット 課長代理の遠藤貴志氏は,携帯電話を使って業務システムを構築する際の注意点を指摘した。

 遠藤氏によれば,市場が飽和状態に達した消費者向けのコンテンツ市場と対比して,「業務利用を対象としたモバイル・ソリューションの市場は2004年後半からようやく立ち上がり始めた」。さらに,今後この市場が本格的に拡大していく上では,いくつかの課題を解決していく必要があると指摘した。その課題とは,(1)セキュリティ,(2)通信料金などの運用コスト,(3)機種依存性――の3点だ。

 まずセキュリティ面では,「SSL通信機能などネットワーク上のセキュリティを確保するサービスは豊富になっているが,端末を使用する本人を確認するソリューションが限定的だ」とした。パソコンに比べて盗難や紛失の可能性が高まる携帯電話機の場合,指紋認証や端末の遠隔ロック機能などの導入を検討するべきだという。ただし,こうした機能は,「まだ一部の端末にしか導入されていないため,機種選択の幅が狭い」。今後,こうした本人認証のソリューションがより進化する必要があるとした。

 次に通信料金については,「定額制の通信料金が企業向けのソリューションなどに導入され始めたが,まだ実績が乏しく,費用対効果を評価しにくい」という。また,実際に活用する場面では通信料を公私で分計することが難しいことも導入の課題に挙げた。

 最後に,採用する携帯電話の種類によって使える機能に差があることにも注意が必要だとした。「同じメーカーの端末でも,世代が変わる際に一部の機能が省略されることもある。追加で端末を購入する際には注意が必要だ」という。また,機種ごとに依存する機能が多いため,「現状ではパッケージ化したモバイルソリューションの開発が難しく,実態は個々の業態や業務,採用する携帯電話機に合わせてシステムを構築することになる」。このため,他社の事例などと比べて導入コストを評価することが難しいという。

 遠藤氏は,このように携帯電話を使ったソリューションにはまだ多くの課題があるとした上で,「なんでも携帯電話でできる,と考えず,セキュリティ上のリスクや,技術が陳腐化するスピードが速いことなども認識した上で,モバイル・ソリューションの導入を検討するべきだ」と強調した。

(滝沢 泰盛=日経ニューメディア)