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 フレッツ・ISDNの登場によって,個人でもインターネットに常時接続するユーザーが増えている。こうなると,自宅でWebサーバーを立ち上げたり,外から自宅のマシンにインターネット経由でアクセスしたくなる。ところが,これが意外と難しい。外から自宅マシンのIPアドレスを調べる方法がないからだ。そんなときに役立つツールがある。気軽にメッセージを交換できるツールとして人気を集めているインスタント・メッセージである。

 フレッツ・ISDNを使ったインターネット接続では,ダイヤルアップ接続時にインターネット接続事業者(プロバイダ)がIPアドレスを割り当てている。そのIPアドレスは,自宅マシンの設定画面を見れば確認できる。ただ,多くのプロバイダはユーザーにIPアドレスを固定的に割り当てているわけではないので,ダイヤルアップするたびにIPアドレスが変わる可能性がある。NTT側の工事やプロバイダのメンテナンスなどで接続が一時的に切れることは避けられない。

 ここでインスタント・メッセージが登場する。インスタント・メッセージは,相手に簡単なメッセージを伝えるために使うチャット・ツール。代表的なソフトとしては,米AOLの「ICQ」や米Yahoo!の「Yahoo!メッセンジャー」がある。このインスタント・メッセージを使えば,通信相手のIPアドレスを見つけだせる。自宅マシンをインターネットに接続しておけば,いつでもどこからでもIPアドレスを確認できるのだ。

 このIPアドレス検索機能はさまざまな用途に応用できそうだ。例えばインターネット電話。これまでは,相手のIPアドレスがわからなかったため,固定電話を呼び出す場面で使うのが一般的だった。インスタント・メッセージを使えばこの問題は解決する。実際,米AOLや米マイクロソフトはインスタント・メッセージにインターネット電話機能を組み込み,パソコン同士で通話できるようにしている。

 また,米シマンテックはパソコンの遠隔操作用ソフト「pcAnywhere」の最新版に,Yahoo!メッセンジャーとの連携機能を組み込んだ。これを使えば,いつでもどこからでも自宅のパソコンにアクセスし,遠隔操作できる。自宅のパソコンに家電製品をつなぐことができれば,ネット経由で家電を操作できるようになるわけだ。

 インターネットで使われるIPアドレス以外のアドレスとしてはドメイン名(ホスト名)があるが,今後はインスタント・メッセージの「ユーザー番号」も重要になりそう。インターネットの代表的な用途にしても,今はWebアクセスと電子メールだが,インスタント・メッセージを活用したさまざまなチャット(会話)がそれらに取って代わる可能性は十分にある。

斉藤 栄太郎