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 P2P(peer to peer)は違法ファイルをやりとりする技術――。そんな誤ったイメージを一新する可能性を秘めたP2Pシステムが多くのユーザーで使われ始めている。米国のプログラマ,ブラム・コーエン氏が開発した「BitTorrent」(ビットトレント)である。

 米国ではすでに,無料のデスクトップLinuxやNASA製の3次元地球儀など,さまざまなソフトの配布に使われている。仕様が公開されているので,BitTorrent準拠のソフトもいくつか登場。国内でも,コミュニティ・サイト「dream city」を運営するエルゴ・ブレインズが動画配信サービス用にBitTorrentを活用する予定だ。

 BitTorrentは,WinnyやWinMXなどのP2Pファイル共有ソフトと根本的に目的が異なる。ユーザー間でファイルを共有するためのものではなく,コンテンツ・ホルダーがファイルを配信するためのしくみなのだ。

 BitTorrentでファイルを配信するには,原本ファイル・サーバー(“original” downloader)と配信管理用サーバー(tracker)という専用サーバーを立てる必要がある。

 BitTorrentでは,ファイルを小さな断片に分割してやりとりする。その分割したファイルを保存しておくのが原本ファイル・サーバーだ。

 一方の配信管理サーバーは,ファイルをダウンロードした全パソコンのリストを集中管理している。ユーザーがBitTorrentを利用してファイルをダウンロードしようとすると,まず配信管理サーバーにアクセスし,ファイルを持つパソコンのリストを入手する。そして,リストアップされたパソコンからファイルの断片をそれぞれ個別にダウンロードするわけだ。

 BitTorrentではファイル配信用のサーバーがあるので,だれがファイルを配布しているのか追跡できる。ファイルをダウンロードしたパソコンも,配信管理サーバーを見ればわかる。つまり,BitTorrentを使うと,トレーサビリティ(追跡可能性)が保証されたファイル配信が可能になる。ここが,著作権侵害の温床になりがちな他のファイル共有ソフトとの大きな違いである。

 BitTorrentはさらに,大容量のファイルでも高速配信できる設計になっている。ファイルを持つユーザーが多くなるほど,迅速にダウンロードできる。ユーザー数が増えてもサーバー側の負荷はそれほど増えない。

 こうした特徴から,コンテンツ・ホルダーにとってBitTorrentを使うメリットは大きい。エルゴ・ブレインズは別途,著作権保護機能を加えてサービスを提供する計画だ。

藤川 雅朗