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 連日大勢の来場者を集めている愛知万博(愛・地球博)。その愛知万博でIT技術関連の話題といえば,ICタグを埋め込んだ入場券を採用した点が挙げられる。ICタグとは小さなICチップにIDを組み込んだもの。そのIDをICタグ・リーダーとの間で電波を使ってやりとりすることで,近づけるだけで予約や改札,入退管理などを実現できる。そんなICタグが身近な場面で使われるケースが増えてきた。今回はその中から回転寿司店での利用例を紹介しよう。

 多くの回転寿司店が,すでにICタグを採用している。おもな用途は精算だ。ネタによって値段が異なる回転寿司店では,合計金額を精算するのが大変なので,その省力化を図るというわけだ。

 精算にICタグを活用している回転寿司店では,すべての皿の底にICタグを貼り付け,ICタグのIDとお皿の色(値段)はあらかじめ対応付けておく。こうすることで,食べ終わったあとに,店員がICタグ・リーダーで皿のIDを読み取ると,瞬時に合計金額を計算できる。

 ICタグを使わなくても,皿にバーコードを付ければ同じように精算できそうだ。しかし,実際に使われているのはICタグばかり。これには二つの理由がある。

 一つは,ICタグを使うことで,一枚ずつ読み取らなくても確実に精算できるようになること。システムによっても異なるが,ICタグを使うと皿を4~5枚ずつまとめて読み取れる。もう一つの理由は,2重にカウントするのを防げること。もし,同じIDのICタグを2度読み取った場合,2度目は精算に含めないようにしている。すべての皿に異なるIDを付けられるICタグだからこそ,こうしたことも簡単に実現できるわけだ。

 さらに最近では,回転寿司店の裏側でもICタグが利用されている。例えば,回転寿司チェーンのあきんどスシローは,「すべて一皿105円なので,精算にはICタグを使っていません。でも,鮮度管理や単品管理にICタグを使っています」(社長室の岡雅史さん)という。

 回転寿司のネタの鮮度は,レーン上で移動した距離に比例して悪くなる。そこであきんどスシローでは,回転レーンの下に隠れたICタグ・リーダーで皿ごとの移動距離を監視し,一定距離を超えるとレーンから自動的に取り除くシステムを導入した。こうすることで,鮮度の落ちた寿司がいつまでもレーン上を回転し続けるといった事態を避けられる。

 さらにあきんどスシローはICタグを使って,どのネタがどれだけ回転して,何枚が利用客に取られたかという情報も逐一収集する。その情報を基に,店別,時間帯別に流すネタの量を変えている。このようにして,廃棄率を上げないことと,鮮度を維持しながら利用客の求めるネタを不足なく回すことを両立させている。「鮮度管理はほかでもやっていますが,単品管理までやっているのはうちだけです」(岡さん)という自慢のシステムだ。

 知らないうちに,身近なところでICタグは活躍しているのである。

阿蘇 和人