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トレンドマイクロのペリー氏

 「スパム・メールやフィッシング詐欺の横行によって,電子メールはもはや今までのように信頼のおける仕事のツールとして使えなくなりつつある」――。11月25日と26日の2日間,千葉県・浦安市で開催されたウイルス研究者の国際会議「AVAR 2004 in Tokyo」でトレンドマイクロのデビッド・ペリー氏が報告した。

 ペリー氏は,トレンドマイクロでユーザーのウイルス教育などを担当している人物。発表の冒頭,同氏はまずウイルス対策におけるユーザー教育の重要性について触れた。同氏によれば,ユーザーを教育するうえで大きなネックになっていることの一つとして「用語の定義のあいまいさ」があるという。

 ウイルス分野では,以前から使われているウイルスやワーム,トロイの木馬といった用語に加え,最近ではスパイウエアやアドウエア,フィッシング詐欺などさまざまな用語が飛び交っている。しかし,「主要なベンダー間でさえこれらの定義が統一されていないのが現状。これではユーザーに正しい理解を求めるのは難しい」(ペリー氏)。

 そこでペリー氏は現在,ほかの専門家と協力して,ベンダーの枠を超えて用語の統一を図るべく作業を進めているという。「2004年末をメドに20近くのウイルス関連用語について定義を明確にしたい」(同氏)。

 続いてペリー氏は,現在のウイルス事情について解説した。それによると,最近は自分の技術力を誇示したり,愉快犯的な目的で作られるウイルスやワーム,トロイの木馬の類は少なくなっているという。その代わりに,「金銭的利益の獲得を狙ったスパイウエアやスパム・メール,フィッシング詐欺などが急増している」(同氏)。

 とくにスパム・メールとフィッシング詐欺による犯罪の増加に関しては,冒頭のコメントにある通り,このままの状況が続くと電子メールの信頼性が崩壊しかねないと大きな懸念を示した。

(斉藤 栄太郎=日経NETWORK)