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 日本IBMは2002年1月28日,同社製Webアプリケーション・サーバーWebSphere Application Server向けの統合開発環境「WebSphere Studio Application Developer for Windows」(WSAD)を発表した。「VisualAge for Javaエンタープライズ版」の後継ツールにあたる。(1)XMLやJavaといった開発対象ごとにメニューを用意し,ユーザーが自分に関係する機能や操作だけを表示させることができる,(2)他社製ツールとの連携による機能拡張が可能---などが特徴である。

 開発対象ごとのメニューは「パースペクティブ」と呼び,「Debug」,「Java」,「J2EE」,「Web」,「XML」などを用意する。1つのアプリケーションを開発する場合でも,HTMLデザインを行うコンテンツ作成者やJavaプログラムを開発するJavaプログラマなど,開発者の役割ごとに必要な機能は異なる。パースペクティブを用意することで,各ユーザーは自分の“役割”に応じたメニューを選択すれば,必要な機能や操作だけを表示させることができる。WSADだけで,様々な開発者ごとに適した開発環境を提供することが目的である。

 WSADは,他ツールをWSAD上で動作させることで機能拡張させることが可能である。他ツールを動作させるには,そのツールとWSADをつなぐ「連携ソフト」が必要だ。米Rational Softwareのバージョン管理ソフト「Rational ClearCase Leverage Technology」(CCLT)用の連携ソフト,オープン・ソースのバージョン管理ソフト「CVS」(Concurrent Versions System)用の連携ソフトをWSADに同こんしているほか,オープン・ソースのJava開発環境である「Eclipse」に対応した連携ソフトをそのまま利用することもできる。これは,WSADがEclipseをベースにしているからである。なお,CCLT自体はWSADに同こんされているが,CVSはhttp://www.cvshome.org/からダウンロード(無償)し,インストールする必要がある。

 将来的には,国内では日本ラショナルソフトウェアのモデリング・ツール「Rational Rose」およびバージョン管理ツール「Rational ClearCase」,富士通インフォソフトテクノロジのドキュメント自動作成ツール「J仕様書工房3」などがWSADへの対応を表明している。さらに,パースペクティブの「Plug-in Development」メニューから,自分で連携ソフトを開発することも可能である。

 このほかWSADは,Webサービスをウイザードによる対話形式で開発する機能や,アプリケーションのボトルネックを調べるためのプロファイリング機能,作成したアプリケーション/WebサービスをWSAD上でテストするための機能なども備えている。

 対応OSはWindows NT/2000。価格は49万1800円と,VisualAge for Javaエンタープライズ版に比べて約7万円高い。2月8日に出荷開始。同製品のLinux版も近く発表する予定である。

吉田 晃=日経オープンシステム)