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 スパイレント コミュニケーションズは,インターネット上の機器やアプリケーションなどに向けた負荷テスト用アプライアンス製品の新版「WebAvalanche Ver4.2」を2002年10月20日に出荷開始した。WebAvalancheは米Caw Networksが開発した製品で,2002年9月に同社は米Spirent Communicationsに買収された。日本国内では,東陽テクニカ,住商エレクトロニクス,東京エレクトロン,日商エレクトロニクス,が販売する。米Caw Networksの元CEOであり,米Spirent Commnications President,Northern California Operations and Market Development Performance Analysis BroadbandのAndrew Foss氏に,米国での負荷テストにおける動向などを聞いた。(聞き手は森側 真一=日経オープンシステム)

Andrew Foss氏
---米国でのWebAvalancheのユーザーにはどんな業態が多いのか
 最も多いのは,ネットワーク機器メーカーだ。全体の約半分を占める。次がサービス・プロバイダで約2割。米Microsoftや米Borland Softwareなどソフトウエアのメーカーが約15%,一般企業も約15%といったところ。現時点では,サービス・プロバイダは伸びが少なく,ソフトウエア・メーカーや一般企業が伸びている。数としては,全世界の累計で70~80社,約500セットだ。製品やサービスの開発時と,運用開始後の両方で使われている。

---日本では米Mercury InteractiveのLoadRunnerが負荷テスト・ツールとして先行しているが,米国では競合しているのか
 Mercuryの製品とは補完関係にあると見ている。Mercuryの製品はソフトウエアの品質保証やリグレッション(退行:プログラムの修正で新たなバグが発生することなど)に対するテストに用い,パフォーマンス分析やストレス・テストはSpirentの製品を用いる,といった形だ。実際,NTTデータでも補完的に両社の製品を使っていると聞いている。

---負荷テストの機能はLoadRunnerも同様に備えるのではないか
 米国でも確かに,負荷テストとしてLoadRunnerのユーザーは多い。(製品を発売して)初めのころは「LoadRunnerと比べてどちらがいいのか」といった議論は,やはりあった。しかし,パフォーマンス分析やストレス・テストとしては,ネットワークとアプリケーションの両方で,実際の環境に近いシミュレーションが必要となる。それは我々だけが提供できる特徴だ。

---実際に近いテストがなぜ必要とされるのか
 例えば,NASA(米国航空宇宙局)の研究機関によれば,「約3%のパケット・ロスによってFTPアプリケーションのスループット性能が約半分に落ちた」というレポートがある。実際には,4~8%のパケット・ロスがインターネットで発生していると見ている。WebAvalancheではパケット・ロスに対する設定も可能だ。
 元々WebAvalancheを開発した理由もそこにあった。ネットワークとアプリケーションを別々に負荷テストしていたために,実際の環境では問題が発生してしまい,顧客に迷惑をかけた。そのとき,LAN環境など“良い”ネットワーク環境で,インターネット・アプリケーションの負荷テストを実施しても,確かな負荷テストは実施できないことが分かった。

---高価な製品だが,サービスとしての提供は無いのか
 まずLoadRunnerなどと比べて高いとは思っていない。パフォーマンスも新版において,HTTP GETの最大数で2万から3万と1.5倍になるなど,コスト・パフォーマンスは上がっている。サービスとしての提供は,米国ではパートナが若干数行っているが,直接実施する計画は無い。

---日本国内での販売見込みはどうか
(回答は1次代理店の東陽テクニカ 情報通信システム SPIRENT営業部 セールス/マーケティング 課長 小野寺充氏)
 まずサービス・プロバイダと製造業を中心に販売していきたい。一般企業への販売は,これから計画していく予定だ。