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 情報処理振興事業協会(IPA)は2002年11月25日,平成14年度の未踏ソフトウェア創造事業「未踏ユース」採択プロジェクトおよび開発者を公表した。業務システム構築に貢献する可能性のあるプロジェクトとして,オープン・ソースのRDBMSであるPostgreSQLに,分散データベース機能を付加したり,XML対応機能を拡張したりするプロジェクトが採択されている。また,オープン・ソースのCOBOLコンパイラを開発するプロジェクトもある。

 未踏ソフトウェア創造事業は,IPAが経済産業省からの補助を受け,独創的なソフトウエア開発を資金面などで支援する事業である。未踏ユースは,その中でも特に若手開発者を支援するもの。選考は電気通信大学教授の竹内郁雄氏が担当している。

 PostgreSQLに分散データベース機能を付加するプロジェクトは,複数サーバー間のデータの整合性を確保するための「2フェーズ・コミット」,複数のデータベースへの透過的なアクセス,無停止での運用を支援する差分ログやアーカイブ・ログなどの設計と実装を行うもの。開発担当者は慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科の永安悟史氏で,同氏のホームページで開発中のソース・コードなどを公開している。

 PostgreSQLのXML対応機能を拡張するプロジェクトは,XMLの操作言語のひとつであるXPathを実装するものだ。開発者は芝浦工業大学 工学部 油井 誠氏である。ベースとしてPostgreSQLのXML拡張ソフトウエアであるXMLPGSQLを使用する。XMLPGSQLはメディアフロントが開発したオープン・ソース・ソフトウエア。XMLPGSQLは前年度,平成13年度の未踏ソフトウェア創造事業に採択されており,メディアフロントは今回のXPath拡張プロジェクトを管理組織として支援する。

 オープン・ソースのCOBOLコンパイラを開発するプロジェクトは,Linux上で動作するCOBOLコンパイラを開発するもの。オープン・ソースのCOBOLコンパイラは海外にいくつかあるが,OpenCOBOLは業務システムに堪え得る実用性を備えることを目標とする。開発者はネットワーク応用通信研究所研究員の西田圭介氏。同氏が開発したCOBOLコンパイラはすでにOpenCOBOLとして公開されており,日本医師会の「日医標準レセプトソフト」で採用されている実績もある。

 未踏ソフトウェアは独創的なソフトウエアであるため,完成が約束されたものではない。さらに,研究ではなく業務で利用できる完成度を備えるためには,これらのソフトウエアを利用する開発者も,テストやデバッグに参加するなどして開発を支援する必要があろう。しかし,ここで紹介したソフトウエアは,業務上の必要性が高いものであるだけに,実用レベルの品質が得られれば業務システムの低コスト削減や高度化などに大きく貢献することが期待される。

(高橋 信頼=日経オープンシステム)