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 「ペア・プログラミングはうまくいったのか」「開発コストの見積もりはどうやったのか」「上司はどう評価したのか」…次々と質問が飛ぶ。第3回XPユーザー会は,冒頭から活気を持って始まり,予定の2時間半はあっという間に過ぎた。

XPの実践記録をレポート
 XP(Extreme Programming:エクストリーム・プログラミング)の普及団体日本XPユーザグループ(XPJUG)の第3回ユーザー会が12月7日,東京の文京シビックセンターで行われた。XPは,少人数で高品質のソフトウエアを開発する方法論。オブジェクト指向言語Smalltalkのプログラマとして有名なKent Beck氏らが提案し,日本でも急速に関心が高まっている。

 今回行われたユーザー会では,XP関連のさまざまな著作で知られる,永和システムマネンジメントの平鍋健児氏が講演。実際に同社で行われたXPのパイロット・プロジェクトについて報告した。国内ではXPの事例がまだほとんどない中,XPを実践した内容が聞けるとあって,実に86名の参加者が会場に訪れた。

 平鍋氏らが実践したプロジェクトは,サーブレット/JSP(JavaServer Pages)を使った医療用患者データベースを開発するというもの。実際の開発案件ではないが「XPの実践的なデータを取るため,実際の案件に近い要件をまとめてスタートした」(平鍋氏)。

 開発メンバーは,マネージャ1名,コーチ1名,プログラマ3名の計5名。これにユーザー案件に詳しい開発者1名が擬似顧客として参加した。プログラマの3名はともに入社3年以下で,うち1名は新入社員だ。「経験豊富なプログラマでなくても,XPができることを証明したかったから」と平鍋氏。実際,XP初体験であったのにもかかわらず,目標の1カ月で4回のイテレーション(繰り返し開発)を終え,要求仕様通りのアプリケーション・リリースに成功した。

ペア・プログラミングは効率的だが疲れる
 XPには,ユーザーが開発現場に常駐する「オンサイト顧客」,二人のプログラマで一つのコードを書く「ペア・プログラミング」など,12のプラクティス(実践項目)がある。同プロジェクトではこのうち,開発案件を比ゆで例える「メタファ」以外は,ほぼ実践できた。実際の開発案件ではないパイロットという側面はあるものの「結果として週40時間労働(残業なし)というプラクティスも達成できた」(平鍋氏)。プログラマならもっとも興味のあるペア・プログラミングについては「プログラミング技術の知識が,すぐにメンバー間に広まるので効率的」と高く評価。ただし「集中度が高まるので疲れるのも事実。ペアを組むのは半日が限界では」という感想も。

 プロジェクトを通じて平鍋氏が再認識したのは「コミュニケーションの大切さ」だ。「マネージャやコーチがメンバー間のコミュニケーションをどう舵取りするかがポイント」と指摘。「イテレーションが進むと,開発スピードが予測しやすくなる」と,管理者にとってもXPは低リスクな手法だと説明した。

テスト・ファーストから実践してはどうか
 講演では,XPを何とか実践してみたいという参加者の質問が相次いだ。「XPを実践するのに上司をどう説得したのか」「開発マシンとメール端末は分けたのか」など導入へ向けての質問がある一方,「オンサイト顧客やペア・プログラミングは,自分の会社では導入しにくい」という声も。しかし「(最初にテスト・プログラムを作る)テスト・ファーストなら,既存のシステム開発プロセスの中でも実践できるのでは」という意欲的な意見も聞かれた。

 同ユーザー会の設立は2001年3月。すでに会員数は600名を超えているという。同プロジェクトの詳細レポートは,平鍋氏が運営するオブジェクト倶楽部のWebサイトで公開されている。興味をもたれた方はぜひ参照してほしい。

(日経ソフトウエア)