「ビジネス・オブジェクト」に関する研究/推進団体のビジネスオブジェクト推進協議会(CBOP)とオブジェクト指向技術に関する標準化団体の米Object Management Group(OMG)は12月17日,ビジネス・オブジェクトに関する標準化/国際化について協力することで提携したと発表した。

 ビジネス・オブジェクトは,おもに基幹系アプリケーションの業務レベルでのソフト部品化や再利用を目指した技術/仕様(詳細は,日経ソフトウエア98年10月号特集3「ビジネス・オブジェクトの時代が来る!」を参照)。CBOPは97年12月に設立され,会員数はすでに100社に達している。99年3月までのフェーズ1で,ビジネス・オブジェクトに関する基本的なアーキテクチャを作成しているところ。一方のOMGも,分散オブジェクトの標準仕様であるCORBA(Common Object Request Broker Architecture)だけでなく,ビジネス・オブジェクトに関する標準の作成も進めつつある。

 今回,両団体の提携内容は以下の5点。
(1)標準仕様への提案権を持つ最高レベルのメンバーシップ(会員資格)を交換する
(2)ビジネス・オブジェクトの標準化に関するワークショップを共同で開催。時期は,99年5月に東京での開催を予定しているOMGのTC(Technical Committee:技術委員会)ミーティングに合わせる
(3)CBOPは,UML(Unified Modeling Language)の普及のために活動する。UMLは,オブジェクト指向分析/設計のためのモデリング言語。OMGは標準として採用しており,ビジネス・オブジェクト標準もUMLを使う
(4)CBOPは,OMGのドメイン・タスクフォース(業種別にビジネス・オブジェクト仕様を決めているワーキング・グループ)と連携して,産業別・用途別ビジネス・オブジェクトの仕様化に関して協力する
(5)年5回開催されるOMGのTCミーティングで,CBOPの活動を報告する

 今回の提携により,CBOPが策定しているビジネス・オブジェクト・モデルがOMGの標準化作業で大きな役割を果たす可能性も出てきた。実はOMGは96年からビジネス・オブジェクトに関する標準仕様BOCA(Business Object Component Architecture)を作成してきたが,結局完成しなかった。「CORBAやUMLなどの標準仕様を十分に活用していなかったし,インターオペラビリティも不十分だった」(OMGのRichard Soley会長)。そこで98年11月から,新たなビジネス・オブジェクトの標準の策定作業を開始したばかり。この時期にCBOPと提携したのは「とてもいいタイミング」(Soley会長)。

 CBOPにとっても,同組織の仕様が日本だけのものに終わらず,国際的なものとして認知される絶好のチャンスとなる。CBOPの活動を主導する堀内一東京国際大学教授(CBOP専務理事)は「あと2~3年後に,と思っていたことがもう現実化したのに驚いている。ここが踏ん張りどころ」と話す。

 ただし,CBOPの仕様をOMGの標準としていくのは容易ではない。CBOPは誕生してからようやく1年がすぎたところで,モデルの策定や評価が十分ではない。OMGに標準として採用を働きかけるとなると,言語の壁を乗り越えて政治的な駆け引きも必要になってくる。

 とはいえ,今回の提携はCBOPにとって一歩前進であることは間違いない。OMGにとっても,特殊な商習慣を持つ日本で標準を普及させるにあたって,メリットは決して小さくないはずだ。