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 米Compaq Computerは6月26日,米Intelと次世代の64ビット・サーバーの開発に関する技術提携を発表した。IntelはCompaqからAlphaプロセッサの技術供与を受け,次世代のItaniumプロセッサを開発する。CompaqはAlphaサーバーの開発を2004年で打ち切り,同社の64ビット・サーバーをItaniumアーキテクチャに統合する。今回の提携の狙いは何か。PCサーバーのユーザーにメリットはあるのか。コンパックコンピュータのソリューション&テクニカルサポート統括本部テクニカルサポート本部の中野守本部長に聞いた。

問 Alphaを打ち切ってItaniumに統合する理由は。
 64ビットの市場でも主導権を取りたいIntelと,Alphaシステムで実現してきた高性能なサーバーを低コストで広く提供したいCompaqの思惑が一致した。最初のItaniumプロセッサであるMerced(開発コード)は,開発スタートから6,7年を経たにも関わらず,安定した性能や品質が得られていない。一方Compaqは,完成度が高く高品質のAlphaシステムを提供しているが,販売台数の面でIntelプロセッサに太刀打ちできず割高になっていた。

 今回の提携に基づき,Alphaプロセッサの開発で蓄積した技術や設計ツールをIntelに供与し,担当の技術者がIntelに移籍する。2004年には,提携の成果となるプロセッサとそれを搭載するサーバーが出てくるだろう。

問 Intelに供与する具体的な技術内容を教えてほしい。
 次世代Itaniumには,Alphaの次世代プロセッサEV7,EV8(製品化は中止)の技術が組み込まれているはずだ。EV7は,これまで周辺チップセットが備えていた入出力制御機能をプロセッサ自身が持つ。この技術を使えば,プロセッサ同士を直接つないで高速なマルチプロセッサ構成を実現できる。

 また,EV8に盛り込まれる予定だった「SMT(Simultaneous Multithreading)」技術は今回の提携の目玉だ。1つのプロセッサで複数のスレッドを同時に実行して,命令実行の並列度を高める技術である。マルチスレッドを実行する場合,これまではある瞬間にプロセッサが実行可能なスレッドは1つしかなく,プロセッサにたくさんある演算回路をフルに使えなかった。スレッドを同時に複数実行できれば演算回路をフルに使うことができ,性能は格段に上がる。1つのプロセッサが同時に4つのスレッドを実行する仕様にすれば,従来技術の約2.5倍の性能を実現できる。今後,より高密度な並列システムを開発する上でカギを握る技術となる。

問 サーバーをItaniumに統合したときの製品系列はどうなるのか。
 統合後のサーバーは,UNIX系のTru64 UNIXやLinuxのほか,OpenVMSやWindows,無停止型OSのNonStop Kernelをサポートする。ハードウエアはおそらく2系列になる。NonStop Kernel向けには,構成要素をすべて冗長化したフォルト・トレラント機を作る。それ以外のOSが動くサーバーは共通になる。

 Alphaシステムも今後3年間は開発を続ける。2003年にはEV7を搭載するサーバーを出荷する予定だ。製品は2008年まで販売し,その間はOSの更新を継続する。少なくとも2013年まではサポートを提供する。

 Alphaサーバーの開発者はCompaqに残るので,次世代Itanium搭載機の開発でコンパックが提供したプロセッサ技術のポテンシャルを引き出すのに貢献するだろう。彼らが得意とするのは,大容量のメモリーやストレージを載せた高性能なシステムだ。32ビット・システムでは競合他社と差異化するのが難しかったが,64ビットのシステムならAlphaサーバーで蓄積した技術を生かして独自性を出せる。Windowsユーザーは,こうして開発された大規模サーバーを利用できる。Alphaシステムはただ速いだけでなく,高度なサポートや保守体制を提供してきた。Itaniumのシステムになってもそれは同じである。

(森重 和春=日経Windows 2000)