米IBMは業界で初めてiSCSI(SCSI over IP)対応ストレージを製品化するなど,IPストレージの先頭を走る企業だ。11月中旬に同社ストレージ・システム・グループ,ストレージ・ネットワーキング部門のAdalio Sanchezゼネラル・マネージャが来日,今後の戦略を聞いた。要旨は以下の通り。

 IBMは,11月上旬にiSCSI製品を一新した。iSCSI対応のディスク・アレイ装置「TotalStorage IP Storage 200i」は,従来モデルに比べて処理性能で25~30%アップ,容量で2倍にした。

 IP SAN(Storage Area Network)の市場規模は複数の調査機関の報告によると,2005年までに数十億ドル規模に急激に伸びるといわれている。ただ,iSCSIが普及するためには,いくつかの条件が必要だ。まず第1に,標準仕様が確定すること。現在ドラフト仕様0.7であるが,2002年前半に1.0に決まることを期待している。第2に,LANアダプタ上の専用チップがTCP/IPの処理を肩代わりしてくれるオフロード・エンジンが出てくれること。これによりEthernetの高速化に対応できる。第3にiSCSIのホスト・アダプタができること。これらがそろうことでiSCSIは伸びる。他にもマネージメントのためのソフトやサービスが必要で,米Nishan Systemsなどと提携を行い,布石を打っている。

 iSCSIの現在の状況は,各社が集まって相互接続の試験をしているところだ。今年はニューハンプシャ大学などで公開試験が行われた。日本のベンダーなど,他の企業がiSCSI製品に参入してくるのは歓迎だ。iSCSIがIBM独占の技術でなく,業界に開かれた標準仕様だとの認知が進む。

 IBMではすでにiSCSIを利用したシステムで実績を上げている。ヨーロッパのある大学では,オンデマンドのストリーミング・ビデオにより,通信教育の授業を受けられるシステムを実現している。中国のある病院では看護婦のメモを共有できるシステムを構築した事例がある。

 顧客のストレージ環境は,SANやNAS(Network Attached Storage)など異なるストレージ環境にあるのが当たり前だ。IBMはあらゆる分野の製品をそろえており,IP SANでリーダーになる。

(木下 篤芳=日経Windowsプロ)