何カ月も続いた顧客の不平に対応してついにMicrosoftが動いた。今週同社は次のWindowsのメジャー・バージョンである「Longhorn(開発コード)」の出荷スケジュールを決定し,あいまいな出荷日と氷河のように遅い開発に別れを告げることにした。

 3月に会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトBill Gates氏により,同製品が2006年に出荷される予測が「正しい」と認めてから,出荷スケジュールの確定作業が始まった。そして今週,Microsoft幹部に確認してもらった社内文書ではLonghornの出荷日が「2006年前半」に確定されていた。何度も提供が延期されたベータ1(本来は2004年晩夏の予定だった)は私が見たその文書によれば2005年2月半ばに出荷される。

 これまでLonghornの出荷スケジュールは多くの人の推測を呼んだ。現行版のWindows XPと,Longhornの出荷予想日の間が劇的に広がったからだ。いくつかの推測をWindowsファンが示したがそれには根拠がなかった。一方,Windows XPは過去3年絶え間なく無償で改良されたにもかかわらず,小売店ではさらに販売量を伸ばす余地がある。また,企業ユーザーの多くが同OSにアップグレードするライセンスを持っているにもかかわらず,実際にはアップグレードしていない。

 そこでMicrosoftはWindows XPに対する熱気を再度あおるため,暫定的なWindows XPの新バージョン(開発コード名「Oasis」)を短期間検討した。これは,今年予定されているXP Reloadedというマーケティング・キャンペーンの一部としてリリースする計画だった。しかし,同社は結局Windows Media Player(WMP)のアップデートなど機能の改良を続けることにして,Windowsの新しいバージョンはリリースしないことにした。XP Reloadedは,WMPアップデートとXP Service Pack 2(SP2)や今年末までの予定される改良に焦点をあてて行われるだろう。

 Microsoftは上記の出荷スケジュールに間に合わせるために必要なら,いくつかの機能をLonghornから取り除くつもりであることも認めている。これは,研究色の強いプロジェクトから顧客を重視したより安定な製品開発へLonghornを移行するために決定された。Windowsリード・プロダクト・マネージャのGreg Sullivan氏は次のように述べている。「縮小される機能もあるかもしれない。縮小のレベルはいろいろあるだろう。いくつかの場合,(われわれが知恵を絞っている)そのシナリオは完全に包括的なものではなくなる」。Microsoftの社内文書は,機能の削除は重大なものではなく,データベースを活用したWinFSストレージ・エンジンや,プレゼンテーション・レイヤーであるAvalonや通信サービスであるIndigoなど,約束したすべての主要技術を提供するつもりだと示唆している。

 それではMicrosoftはLonghornのどの機能をカットするだろうか?「Business Week」の記事によると,削除される機能として,ローカル・ネットワーク上のコンテンツを集めるWinFSが挙げられている。しかし同社は,ローカル・システム用とインターネット用に同機能を残しており,それで一般のユーザーは十分役立つはずだ。多分,ネットワーク対応のWinFSはLonghornのクライアント版の出荷後60日から90日で登場するLonghorn Server,あるいはLonghornの後継版WindowsであるBlackcombの中に入るだろう。

 MicrosoftはさらにLonghorn用のMicrosoft Officeの開発計画も縮小した。Microsoft Office 12は,Longhornのほかの主要なバージョンのWindows上で稼働するようになる。Microsoftの幹部はCNET.comに次のように語っている。「Microsoftは顧客が様々なニーズを持っていることを知っている。われわれは次のバージョンのOfficeを他の比較的新しいWindows上でも確実に使えるようにする」。

 こうした情報すべてが,MicrosoftはLonghornの提供に確実さを増す方向に動いたことを示す。明らかに同社の「準備できたら出荷する」という言い方は,企業ユーザーを幻滅させてきた。彼らはLonghornの内容と出荷スケジュールに関するもっと明快な情報によって,サブスクリプション(期間購入)型のライセンスの有効期限内に購入できるかを知りたいのである。

 ただし,Longhornが注目の舞台の前面に出られるようになる前に,Microsoftはいくつかの製品の開発を完了させる必要がある。来月Windows XP SP2を完成させたら,同社はWindows Server 2003 SP1とWindows 2000 SP5の開発に取り掛かる。これらで,XP SP2に盛り込んだSpringboardというセキュリティ技術のいくつかを企業向け製品に反映させることに集中することになる。どちらも出荷は2004年後半である。そのため,Longhornベータ1の2月半ばという出荷スケジュールは,偶然あるいは人為的に延期される可能性がある。Microsoftのような業界の大手さえ,メジャーな製品の開発をこれだけ一度に抱え込むと困難に直面する。

(Paul Thurrott)