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 米Microsoftのグループ副社長であるJim Allchin氏は,5月4日(米国時間)に開幕した「Windows Hardware Engineering Conference (WinHEC) 2004」の基調講演で,クライアント製品,サーバー製品に関する今後2年間のロードマップを発表した。

 クライアント製品に関しては,2004年は重要な年になる。まず,Windows XP SP2が今夏遅くに出荷される予定である。Allchin氏は「XP SP2は安全性にフォーカスしており,システムをより信頼できるものにする重要なセキュリティ・アップデートが含まれている」と説明している。

 XP SP2の登場にともなって,Windows XPの新しいエディションも3つ登場する。「Windows XP Tablet PC Edition 2005」(開発コード名Lonestar),「Windows XP Media Center Edition(XP MCE)2005」(同Symphony),AMD64ベースのシステムと今後登場するIntelのx86 64ビット・システム向けの「Windows XP 64-Bit Edition for 64-Bit Extended Systems」である。このほか2004年には「Windows CE 5.0」とWindows Mobile-based SmartphoneやPocket PC OSの新バージョンが出荷される予定だ。

 Allchin氏によれば,同社は2004年中に「Media Experiences Wave」と呼ぶ新製品群を出荷するという。その中心となるのは「Windows Media Player(WMP)」のメジャー・バージョン・アップで,「Janus」と呼ぶ保護されたコンテンツをポータブル・デバイスに転送する技術をサポートする。このほか,新しい「MSNミュージック・サービス」,携帯型メディア・プレイヤーである「Portable Media Centers」,XP MCEによる「Windows Media Center Extenders」(セット・トップ・ボックスからメディア・センター・パソコン内のコンテンツを利用するための技術)のサポートなどが,このMedia Experiences Waveに該当する。

 Windowsの次期バージョンである「Longhorn」(開発コード名)のベータ1版は2005年になる予定だ。Allchin氏はWinHECの基調講演では,アルファ版であるビルド4067とビルド4069を使って,Longhornの機能に関するデモを実施した。このデモは,3Dサブ・システム「Avalon」やコミュニケーション・サブシステム「Indigo」に関するものであった。

 Allchin氏はLonghorn上で6つの高解像度ビデオを同時に再生しながら,3Dゲームの「Quake III Arena」を実行するというデモを実行した。同一環境上でWindows XPを使用した場合だと,4つのビデオを同時再生するのが精一杯だという。また,Allchin氏は「スマートUSBケーブル」という新しいデバイスを利用して,既存のパソコンからLonghornパソコンにユーザー・データを移行するツールのデモも実施している。

 サーバー製品に関しては,Microsoftは2004年末までにWindows Server 2003 SP1をリリースする。Allchin氏によれば,Windows Server 2003 SP1には,Windows XP SP2に搭載される安全性に関する新しい技術のほか,サーバーに特化したユニークな技術が追加されるという。Windows Server 2003 SP1の出荷に合わせて,Windows Small Business Server (SBS) 2003 SP1やWindows Server 2003 64-Bit Edition for 64-Bit Extended Systems,Virtual Server 2005が登場する予定だ。

 また2005年には,Windows Server 2003 Release 2(Allchin氏はWindows Server 2003アップデートと呼んだ)や,SBS 2003のアップデート,新バージョンのWindows Storage Server(開発コード名Storm),Longhorn Serverベータ1がリリースされる。Allchin氏は「Longhorn Serverは,Longhornクライアントとおおむね同時のリリースになるだろう」と語った。Microsoftはこれまで,Longhorn Serverが登場する目安について「Longhornクライアントの後」としか述べていなかった。

 Allchin氏は,Longhornベータ1以降の出荷スケジュールについて触れなかった。しかし,同社がこれまで提示してきたロードマップによれば,ベータ2はベータ1の1年後に予定されていた。よって,Longhornベータ2は,2006年の出荷になるだろう。となると,Longhorn製品版のリリースは2006年半ばから終わりにかけてのことになると予測できる。

 なおAllchin氏はこの基調講演で,今後Microsoftは「体験を売る産業」(the experience economy)の一部として製品を販売する方針を示した。この体験を売る産業の代表格は,非技術企業である「スターバックス」であるという。

 Allchin氏は「エクスペリエンスという考え方は,私たちの次なる成長を支えるもので,それにはイノベーションが欠かせません」と語る。Allchin氏は「ユーザーは,従来コンピュータが関係しなかったような状況下,例えばバケーションや娯楽,エクササイズの最中などでも,シームレスなエクスペリエンスを求めるようになっています。コンピューティングがこれら新しい領域に進出するためには,コンピュータには今以上の静粛性や低熱性,小ささ,軽さ,自己修復機能などが求められています。エクスペリエンス・コンピューティングは,ソリューション中心的であり,個人的であり,体験に特化したものです。場所や音,感じ方,感情に関係しています」とも語っている。

 Allchin氏がいうには,「エクスペリエンス」とは「行動」にフォーカスしており,あるタスクを成功させるために必要な一連のイベントの完全なフローであるという。Microsoftはこのような「エクスペリエンス」をOSに実装しており,Windows XPの写真関連の機能や,システム管理機能,Windows Server 2003におけるロール・ベースの管理ツールがそれに当たるという。「しかし,私たちはもっと努力しなくてはいけません。Microsoftが2005年に出荷する製品は,この点についてよりよいものになっているでしょう」とAllchin氏は強調した。

(Paul Thurrott)