(Paul Thurrott )

 米Microsoftは2003年5月6日~8日の3日間,暑く湿ったニューオリンズで,将来を垣間見せる製品展示会「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)2003」を開催した。WinHEC 2003は最新情報でてんこ盛りだった。Microsoftは,Windows OSの次バージョンである「Longhorn」(2005年に出荷予定)とプライバシーとセキュリティの技術である「Next Generation Secure Computing Base(NGSCB)」(以前はPalladiumと呼ばれていた)の話を盛んにしていた。

 WinHECはハードウエア指向のショーなので,セッションの多くはグラフィックスやデバイス・ドライバのような技術と,そのほかうわべは退屈に見えるトピックにフォーカスしていた。しかし,ハードウエアの販促に長い時間を費やしながら,WinHECは「コンピューティングの未来」というトピックも強調している。そういうわけで,あなたは.NETがテーマの主な1つになっていたと思うかもしれない。

 ところが実際はそうではなかったのだ。もちろんMicrosoftの代表はWindows Server 2003のトークで.NET関連のことを少し話したし,.NETの愛称だって組み込みや携帯機器用の最新OSである「Windows CE .NET 4.2」の名前に見受けられる。そして,MicrosoftはLonghornのためのアプリケーション・レベルのAPIを書くために,.NETで管理されたコードを使うだろうが,同社からは「2003年秋までその詳細を話さない」と聞かされた。.NET関連でのいくつか面白い展開を見付けるにはそれほど先まであせって見ようとしてもしょうがないのだ。そして目先を変えるために,発表の大部分が娯楽関連になっていた。

Messengerのアップデート版が今夏登場
 まず,Microsoftは「MSN Messenger」と「Windows Messenger Instant Messaging(IM)」製品に,いくつか面白い更新を準備している。

 将来的にWindows Messengerは,次の3つのサービスにより,安全でログ機能を持つIM機能を企業に提供する予定だ。
(1)Exchange IMとインターネット・ベースのPassport
(2)Real-Time Communications(RTC)Serverベースの「Session Initiation Protocol(SIP)IM」
(3)今夏にデビューする新しいWindows Server 2003のアドオンに対するサポートを提供する企業専用IMアプリケーション

 Windows Messengerは,技術的にはWindowsの一部であり,つまりMicrosoftはより広い範囲のWindows製品におけるミドルウエアとしてこの製品を配布する。ただし,独占禁止法の和解に従ってMicrosoftがその製品の中で提供できる機能はいくぶん限定されている。そこで,MicrosoftはWindowsとは統合されないMSN Messengerの方で,より面白いIMの多数の改良を提供する。

 Microsoftは7月中旬,消費者向けにMSN Messenger 6.0を公表する。このリリースは,オンラインでゲームしている間にインスタント・メッセージが送れるよう新しく統合されたゲームを含む新しいラウンチ・サイト機能と,Webカム・チャット機能,音声チャット機能,MSN 8.5に似たユーザー・インターフェース,75以上の新しいグラフィカルな絵文字アイコンを含むはずだ。MSN Messenger 6.0は様々なパーソナライセーション機能とログ機能(これはMac OS X用のMSN Mesenger 3.5で最初に実装されたものだ)も備えている。

XboxとMSNが相乗効果を目指す
 MicrosoftのXbox Liveオンラインのゲーム・サービスは,同社としては成功した。Xboxユーザーが世界中から参加する競技者と一緒にオンラインでゲームできるようにするものだが,既に50万人の加入者がサインオンした。この秋,同社はこのサービスの新バージョンを公開する。

 以前と同じようにMicrosoftは,このサービスについて年間の50ドルの料金を請求する。サービスには「Live Now」(Xbox Liveヘッドホンを使ってオンラインで他のプレーヤーと一緒にチャットできる)や「Live Web」(プレーヤーの順位表をチェックしたり,だれがオンラインにいるかを調べられる),そして「Live Alerts」(Xbox Liveの加入者が,インターネット対応の携帯電話やPDA,そしてMSN Alerts技術と互換性がある他の装置を使ってプレーヤーたちにゲームの招待を送れるようにする)などのいくつかの面白い特徴を含んでいる。Live Alertsのリリースは,Xboxゲーム・コンソールをPCベースの.NET Webサービスと統合したときになる。

 MSN Alertsは,トラフィック・レポートや株式,その他の様々な情報をあなたの電子メールやMSN Messengerアカウント,PDAなどに送信する無料サービスである。MSN Alertsは,PC上ではMSN MessengerまたはWindows Messengerに統合される。でもそれよりも凄いのは,あなたが携帯電話やPocket PCなど,PC以外の様々な装置を利用できることだ。

定期契約ラジオ・サービスが始まる
 最後に,Microsoftは「MSN Radio Plus」の定期受信サービスを開始する。これはHotmail Extra Storage,MSN 8ダイヤルアップ,ブロードバンド,Bring Your Own Service(BYOS),The Zoneなどを含め,同社がMSN経由で提供するほかの有料サービスの急成長しているリストに加わることになるだろう。

 MSN Radio Plusは年に30ドルの費用がかかるが,無料サービスにありがちなWeb広告はなく,加入者にストリーミング・オンライン・ラジオを送信する。MicrosoftによればMSN Radio Plusは,今後数カ月のうちに提供する多くの定期受信契約方式の娯楽番組サービスの最初のものなのだという。新サービスは,RealNetworksのサービスと競合する。RealNetworksのサービスは,1カ月6ドルでRealOne RadioPass定期購読契約を提供するもので,よく似ているがより高価なサービスだ。

 Microsoftのこれらの発表は.NET技術を基にしたいくつかの健全で面白い進歩を加えるものだ。疑問点は,MicrosoftがXbox LiveやMSN Radio Plusのような有償サービスに対して,人々にお金を出させることできるか,ということである。