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システム管理者向け機能は後付け?
 もちろん,セキュリティ問題に対する対応を筆頭に,近年マイクロソフトによるシステム管理者向けの配慮は強化されつつある。それでも開発者やエンドユーザーに対する配慮が当初から活動に盛り込まれているのと比べると,システム管理者向けへのそれは,どこか「後付け」的な感覚が強いように思う。

 例えば,Windows XP Service Pack 2(SP2)の新機能の1つに「Windowsファイアウオール」がnetshコマンドやグループ・ポリシー・オブジェクト(GPO)を使ってバッチ処理的に,また一括で制御できるようになった点が挙げられる。

 確かにこれはシステム管理者にとってうれしいことである。しかし見方を変えると,そもそも大量のマシンにファイアウオールをどう展開するかというのは,Windows XPにインターネット接続ファイアウオール(ICF,Windowsファイアウオールの前身)を搭載することを決定した時点で考慮するのが当たり前のはずであり,後付けて議論すべきことではないのではないか,と考えてしまう。

 USBデバイスやプラグ&プレイといった自動構成機能も,エンドユーザーにとっては便利な機能かもしれないが,セキュリティ上は最悪の機能である。システム管理者としては,是非とも無効にしたい機能の筆頭だ。しかし,現状これらを一括して管理するうまい方法はない。

 こうして見ていくと,システム管理者という観点は,全く考慮されていないとは言わないまでも, やはり「マイクロソフトは開発者寄りの会社だ」,もう少しいうと「開発者とユーザー(コンシューマ)」という観点で製品やサービスを提供している会社だというのが,私の感覚である。システム管理者の方々であれば,賛同していただける方も多いのではないだろうか。

 技術的ではないが,私が最近取り組んでいるライセンス周りの議論も,この話の延長線上にあると考えている。例えば,Office製品がCOMコンポーネントとして呼び出せるのはプログラマとしては便利な機能であろう。しかし,それをサーバー・サイドでタスクで動作するプログラム内から呼び出したら,ライセンス上はどう扱うべきかといった,システム管理者が悩む点については,少なくとも機能の開発当初は全く議論されていなかったとしか思えない。

 現在,「セキュリティ」については,世の中のすう勢もあって,設計段階から考慮すべく動いているようで,これは好ましいことである。しかしその一方で「システム管理者」の視点については相変わらずで,「エンド・ユーザー」と「開発者」の狭間に落ち込んでしまっているような感が否めない。

開発者・エンドユーザーに加え
システム管理者の3本柱へ

 前置きが長くなったが,こうした現状を認識した上で「開発者」,「エンドユーザー」というこれまでの2つの柱に加え,第3の柱として「システム管理者」という柱を立てていただきたい。そして常に「3つの柱」を意識して頂きたいというのが,わたしのマイクロソフトに対する要望である。

 例えば,プロダクトの設計段階において,あらゆるコンポーネント,機能について開発者から見た生産性や,エンドユーザーの使いやすさに対する配慮と同じ重み付けで,システム管理者からみた「管理しやすさ」や「ライセンス」,「移行や混在」といった観点について,設計段階の当初から考慮する。こうしたことが行われていけば,いつの日か現在感じている「違和感」が消える日もやってくるかもしれない。

(日経Windowsプロ2004年10月号より)



Microsoft MVPとは…
 Microsoft MVP(Most Valuable Professional)とは,MS製品のユーザー会やメーリングリストなどでユーザーのサポートをしている人の中でも,特に貢献度が高いとMSが認定したプロフェッショナル。Windows ServerやSQL Serverなど部門ごとに認定されている。