PR
(Paul Thurrott)

 2005年2月6~10日に開催された「VSLive! San Francisco」というサード・パーティの開発会社の展示会に米Microsoftは参加した。開発ツールであるVisual Studio(VS)にちなんだ「VSLive!」には,Microsoftのプログラム・マネージャとプロダクト・マネージャ,テスター,MVPたち,幹部,そのほかの同社代表を多数登場した。みんな「なぜVS 2005の出荷にそんなに時間がかかっているのか」を質問されることになったことだろう。聞いてもしょうがない質問かもしれないが。

Microsoftと開発者の共同歩調が成功の源泉
 このコンファレンスの成功は,その前の週に開催された小規模だがよく似たイベント「Microsoft campus for Microsoft Office developers」が成功したように,同社が2005年のスタートを着実に切ったことを示す。Microsoftはソフトウエア・プラットフォームという“パン”に,開発コミュニティが“バター”を塗ることを知っているらしい。このような開発者の注目こそが,ここ数年にわたるMicrosoftの成功の大部分を事実上運んできたのだと私は思っている。

 Microsoftは昔,Windows 3.xに関する技術情報を開発者に配布する努力をしていたものだ。Charles Petzold氏は,技術情報を普通の人々に理解できるようにしていた。その素晴らしい仕事については特に強調しておくべきだろう。

 MicrosoftがまだWindows NTの初期バージョンのベータ・テストをしていたときに,Microsoft Pressは開発者が早くスピードアップできるように,Win32 APIのベータ版のリファレンス・ガイドを発行した。そして,Windows 95が10年前に32ビット・コンピューティングをもたらすと約束したときに,同社は移行を容易にするためにまず開発者のコミュニティに頼った。

 それ以来のソフトウエア・プラットフォームの怒涛のごとき変遷は目がくらむほどで,思い出すのも難しい。開発者たちはOLE(オブジェクト・リンキング・アンド・エンベディング)からCOM(コンポーネント・オブジェクト・モデル)そして COM+への移行し,RDO(リモート・データ・オブジェクツ),OLE-DB,ADO(ActiveXデータ・オブジェクツ),ADO.NETといった多数のデータ・アクセスが標準になった。さらに高いレベルではあるが,あまり洗練されていなかったイニシアティブへ,例えば,ActiveXやWindows DNAやMicrosoft.NETにも対応しなければならなかった。

 これらのトピックスと,他の開発者に関連したことは少々混乱していたかもしれない。だが,Microsoftが過去20年にわたって固めたプラットフォームの基礎は驚くべきものである。すなわち,一番成功した同社の製品は,静的なユーザー・ベースのスタンドアロンのソフトウエアだけなのではない。むしろ新しい機能で拡張でき,よりパワフルなものにするために,他の製品と統合できるプラットフォーム全体なのだ。

 このプラットフォーム・ベースの戦略が,Microsoftの状況を複雑にしている。VS 2005は少なくとも1年予定より出荷が遅れており,特にそれがいわゆる「Yukon Wave」の製品に属するほかの製品に密接に関連するからだ。このYukon Waveの製品には,開発コード名「Yukon」と名付けられた「SQL Server 2005」と,新バージョンになった.NET Framework 2.0が含まれる。

 「製品の波(wave of products)」と呼ぶものには,私もちょっとうんざりするが,Yukonの上に他のソリューションが構築されるので,Yukonはプラットフォームなのである。だからこの呼称は適切だ。ソリューションのいくつかは,Microsoftから出てくるだろうが,その多くはサード・パーティから出てくるものだろう。このモデルは,Microsoftが様々な製品で長い時間をかけて改善してきた自立したエコシステムなのだ。

Microsoftは正確なスケジュールを示せ
 Microsoftがスケジュール通りにプラットフォームを提供できないのは問題だという人がいるかもしれない。しかし,Microsoftが明らかに遅れることによって,私が受ける影響題は,結局認識の問題に過ぎない。むしろ,守れない約束をすることで,同社が信用を失うことが問題だと思う。Yukonや次世代Windowsの「Longhorn」のようなプラットフォームを作るのは難しいことだ。開発者と他の顧客は,こうしたことに時間がかかることを理解している。

 彼らももちろん,こうした製品が出荷されるまでにどのぐらいの時間がかかるかをMicrosoftが正確に予測できないでいることで,いらいらするようになってきている。Microsoftに今要求することは,何らかの方向性を持った現実的なスケジューリングだ。2005年は開発者にとって重大な年になろうとしている以上,スケジューリングは重要であり,Yukonはその始まりに過ぎない。

開発者にとって2005年はエキサイティングな年に
 Windows Server 2003とWindows XPのx64 Editionも今年半ばには出荷する。Microsoftは,その製品群について1年以上も開発者を教育してきた。Longhornのベータ1とベータ2も2005年中に出荷される予定であり,開発者に対して彼らが次の10年間にアプリケーションとサービスをビルドするために使う基礎技術に関して重要な見通しを与えることだろう。

 同社は今後18カ月以内にWindows Mobileプラットフォームの2つのメジャー・バージョンを出荷するだろう。そして当然今年も,「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC)」と「Tech Ed」「Professional Developers Conference(PDC)」などのショーを主催する。2004年は忙しかったとあなたは思っていただろうが,2005年も忙しくなるだろう。

 Microsoftのプラットフォームはサード・パーティのチャンスを生み,そしてその製品群はほかの製品とともに動作するときに,よりうまく働く。これは素晴らしい計画であるが,同社はこの計画に関してまだ十分な信用を得られていない。しかし,信用の一部は当然のことながら,Microsoftのプラットフォーム向けに活発にソフトウエアを開発している数百万の人々にも広げられるべきものだ。私はMicrosoftがそういうコミュニティとの連携を決して失っていないことに心強さを感じている。