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(Paul Robichaux)

 米Microsoftは3月10日,米Groove Technologiesの買収を発表した(既報)。Grooveは,コラボレーション製品群を作っている会社だ。Microsoftはかなり以前からGrooveに投資していたから,このニュースは予想外の出来事ではない。しかし,今回の買収がMicrosoftの広範囲なコミュニケーションとコラボレーション関連の製品群,特にExchangeにどんな影響があるかをよく考えると,面白い動きである。

異なるコミュニケーションとコラボレーション
 最初に,「コミュニケーション」と「コラボレーション」の違いを理解しよう。これらの用語は互いに置き換えて使われることが多いが,同じではない。

 コミュニケーションは情報の交換のことだ。例えば,電子メールやインスタント・メッセージング(IM)での会話である。一方のコラボレーションは,共有する成果を生むために他の人と一緒に作業することだ。こうした定義は基本中の基本に思われるかもしれない。しかし,多くの人々はこの2つの用語を結果的に混同しているので,はっきりさせておきたいと思う。

 次に分かりやすい例を1つ挙げよう。今まで,ほかの人々と1つのドキュメントを作成するのに,そのドキュメントの修正版をメールでやり取りしていたとすれば,コラボレーティブな作業を通信チャネルへ無理に押し込んでいたことになる。この組み合わせは作業するのに一番効率のいい方法ではない。でも,あなたの手元にコミュニケーション・ツールしかない場合は多分こういう風になるだろう。Microsoftは,コミュニケートとコラボレートの双方を実践したいと思っている人々に統合されたツールを提供することで,この状態を改善したいと思っている。

 そういう見地からすると,Grooveの買収は短期戦略でも,長期戦略でも理にかなっている。Grooveの製品系列はワークスペースというアイデアに集約される。ワークスペースとは荒っぽくいえば,「SharePoint Portal Server」のチーム・サイトと同等のもので,数多くの異なるタイプのコンテンツ(例えばカレンダ・データ,メッセージ,ドキュメント,タスク,プラグインによって処理されるカスタム・データ・タイプなど)を対象にできる。

効率の良いGrooveのピア・ツー・ピア通信
 Grooveクライアントがオンラインのときは,常にピア・ツー・ピア(P2P)のプロトコルを使い,同一ワークスペース内のほかのデータと同期を取る。このテクニックは,賢いアプローチである。というのは,レプリケーションを制御する管理用サーバーが不要だからだ。Grooveのチーフ・アーキテクトであるRay Ozzie氏は,レプリケーションとオフライン制御のアーキテクチャでよく知られている「IBM Lotus Notes」の主任設計者である。Grooveの製品は,オフラインのときや遅い通信回線で接続している時でも効率的に動作する柔軟性を備えることで,Lotus Notesが持っていた弱点を改善している。

 Grooveクライアントは,ほかにもいくつか面白い能力を備えている。全ユーザーがGrooveの識別情報を持つが,それは本質的にはRSA公開鍵認証書である。Grooveを導入する場合,実際には公開鍵認証基盤(PKI)を導入することになる。PKIの導入にはつきものの集中管理用の認証局は必要ない。さらにこのクライアントは,SharePointサイトとも同期し,そのサイトのローカル・コピーを作る。あなたはオフラインで使えて,オフラインのときには指定した間隔でアップデートできるのだ。Grooveクライアントはワークスペース内にドキュメントを素早く追加したり,検索したりできる。さらに,Officeアプリケーションと統合する。MicrosoftがGrooveの技術を吸収するのに従い,この統合がさらに広く深くなることを,私は期待している。

Grooveの技術をうまく実装してほしい
 MicrosoftがGrooveの技術を,自社の製品群に組み込もうとしているのは明らかだ。SharePointサイトをオフラインで使う能力は,それだけで同社に対するMicrosoftの関心を説明するのに十分な価値がある。Grooveクライアントのピア・ツー・ピア方式の同期機能と,分散型セキュリティ機能を,WindowsとOfficeシステムのコンポーネントに追加することは,Microsoftのプラットフォームを強化することになるだろう。

 私は,Microsoftがどんな風にSharePointにGrooveの能力を組み込むのかを見たいと思っている。同社はExchange Server 2003 Service Pack 2(SP2)と将来のWebリリースで,より改良されたパブリック・フォルダ管理とレポート・ツールを出すと発表している。Microsoftは,どうやってパブリック・フォルダのデータとアプリケーションを,SharePointに移行するかについて,手引きとなる情報をほとんど提供していない。

 その上,今すぐ移行する場合の問題の1つは,切断されたクライアント上で,パブリック・フォルダのキャッシュ・コピーを保持する能力が失われることである。しかし,Grooveの技術はこの問題をうまく解決できる。Microsoftは,パブリック・フォルダの統合とSharePoint上での配備用に,より優れたアーキテクチャを作ろうとしている。この技術を自社の短期的,長期的製品計画にどうやって統合するのか,同社はじっくり検討してほしいと思う。

 Grooveは引き続き,クライアント製品の無償評価版を提供し続けている。私は「Groove 2.x」をある本の編集作業のため広範囲に使っている。私の共著者と校閲担当者全員に,そのクライアント・ソフトをインストールするよう説得するのには,ちょっと苦労した。しかし,私が加えた変更を,私がピア接続している相手全員に自動的に同期させる能力は,私がどの場所にいても非常に役立つものだった。みなさんもこの技術が有用だと思うだろう。