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(Paul Thurrott)

 Microsoftは4月中旬に米国ラスベガスで開催された「Microsoft Management Summit 2005」において,同社の仮想マシン・ソフトのサービス・パック「Virtual Server 2005 Service Pack(SP1)」のベータ版を公開した。同ソフトを適用するとVirtual Server 2005は,x86対応の32ビット環境とx64対応の64ビット環境のいずれでも稼働するようになる。また,ゲストOSとしてLinux環境もサポートする。同時に,MicrosoftはLonghornの仮想化技術に関しても言及し,Longhorn ServerにVirtual Server製品を統合する可能性が出てきた。

SP1でVirtual Serverは性能向上
 Virtual Server 2005 SP1は,Virtual Server 2005向けの最初のサービス・パックだ。Microsoftは2003年初頭にConnectixから仮想化製品事業を買収し,クライアント向けのVirtual PC製品をリリースした。さらに同社は,Virtual PCをベースにしてVirtual Server 2005を発表した。これが2004年9月のことである(日本語版は2004年11月)。Virtual Server 2005は,システムのテスト環境やソフト開発,サーバー統合などの用途に使え,集中管理コンソールから仮想マシンを管理できる。

 同SP1によって,MicrosoftのVirtual Server製品は劇的な広がりを見せる。まず,SP1は非Windows向けの仮想マシンもサポートする。すなわち同社が初めてLinuxもサポートすることになる(元々,ConnectixのVirtual PCでは,Linuxもサポートされていたのだが…)。MicrosoftのSteve Ballmer CEOは基調講演で次のように語った。「われわれは,Windowsシステムのみならず,Linuxシステムや他のシステムもWindowsとVirtual Serverの上で一緒に稼働させたいのだ。SP1は,今年後半に完成するだろう」。

 SP1によって,Virtual Server 2005は性能も向上する。あるベータ・テスターによれば,SP1をインストールした後,CPUの利用率が50%減ったという。他にも,まもなく発売されるWindows Server 2003 x64 Editionもサポートする。

VHDフォーマットとMOM向け管理パックも発表
 さらにBallmer氏は次の2つの新事実を公表した。1つ目は「Virtual Hard Disk(VHD)」と呼ばれるVirtual ServerとVirtual PCで使用するファイル形式をサード・パーティにライセンス提供すること。今年中にMicrosoftのサーバー製品がこのフォーマットをサポートする。2つ目は「Virtual Server Management Pack for Microsoft Operations Manager 2005」も出荷すること。同社のJeff Woolseyプログラム・マネージャによると,同Management Packは,Virtual Serverや一緒に稼働している仮想マシンの稼働状況と性能を,管理者がモニターするオプションだという。Management Packを使えば,MOMユーザーが仮想マシン上のLinuxを監視できる。

Hypervisorは仮想化のためのソフトウエア層
 新事実の公表とは反対に,Microsoftにおける仮想化の未来と,Longhorn Serverの計画に関して,Ballmer氏と他のMicrosoft幹部の発言はあいまいだった。Ballmer氏によると,Longhorn Serverの提供期間中,MicrosoftはVHDフォーマットを拡張可能にし,改良を許すようサーバー・パーティに公開するという。同社は,CPUメーカーのIntelとAMDから提供されるハードウエアの仮想化技術を根本からサポートする予定だ。そして,Longhorn Server向けに,小さく薄くしかも豊富な機能を備えた「Hypervisor」という技術を作ろうとしている。Hypervisorとは,Virtual Serverのような仮想化のためのソフトウエア層であり,1つのハードウエア・プロセッサで複数OSを同時に稼働させられる。

 多くの人は,同社が独立した製品としてVirtual Serverを販売するのをやめ,Longhorn Serverに技術を統合するのではないかと考えている。なぜなら,Ballmer氏は,Hypervisor技術をWindowsの周辺技術として紹介したためだ。興味深いことに,Microsoftは独立した製品をやめることに関してはコメントしなかった。確かに,仮想化機能が小さく軽く,十分高機能であったら,バンドルが可能であろう。クライアントにおいても,将来のデスクトップ向けのWindowsでは,互換性を保持するために,単純なVirtual PCのようなソフトウエア層を使うことになるかもしれない。

 結局これらの疑問に対する答えは,イエスだ。ただし,Longhorn Serverには間に合わないだろう。Microsoftから複数の情報によれば,同社は現在,「NGSCB(次世代セキュア・コンピューティング・ベース)」の集合体を統合し,同社が「メタOS」と呼んでいるものをサポートし提供するため,次世代のHypervisorを開発しているという。この新しい技術は,2008年までには陽の目を見るだろう。いずれにしても,Longhorn Serverが出荷されたあとのことである。

 MicrosoftはVirtual Serverを改良するのに忙しい。競合するVMwareの高機能な仮想マシン製品群と比較して,優れたものにするためである。さらに将来登場する「System Center Capacity Manager」(開発コード名Indy v2)によって,仮想マシンの容量管理を実現できるようになるだろう。