■米Microsoftで,「Windows Server System」ブランドのマーケティング戦略を立案するHarley Sitnerシニア・プロダクト・マネージャが来日した。同社は,ブランド・イメージ向上のため,3月より全世界で大々的なキャンペーン展開を行う。新ブランドに託す意気込みを聞いた。

(聞き手:木下篤芳=日経Windowsプロ副編集長)


Harley Sitnerシニア・プロダクト・マネージャ
米Microsoft,Windows Server Systemマーケティング


――昨年(2003年)春ごろからでしょうか,「Windows Server System」や「Office System」といった2つのブランドが静かにスタートしました。しかし,まだ世の中にはなかなか定着していないように思います。そもそも「Windows Server System」とは何でしょうか。

[Harley Sitner氏]かつて弊社では,サーバー・アプリケーション群を「BackOffice」というブランドで呼んでいました。その後「.NET Enterprise Servers」と名前を変え,そして今回「Windows Server System」に名前を変えました。具体的には,SQL Server,Exchange Server,BizTalk Serverなどのサーバー・アプリケーション群と,さらにサーバーOSの「Windows Server 2003」を含むようになりました。これらをまとめて1つのシステムとして見られるように名称をつけました。

 Windows Server Systemは,エンドユーザーがアプリケーションを利用するためのインフラを提供するものです。クライアント向けのWindows,統合開発環境のVisual Studio .NET,インフォメーション・ワーカー向けのOffice Systemとは別のものになります。ただし,Exchange Serverだけは,Windows Server SystemとOffice Systemの両方に所属しています。

――――どうして,ブランド名を変更したのでしょうか。

[Sitner]いままでサーバー・アプリケーションは非常に数多くの製品があって,そのたびに顧客に説明していました。データベースはSQL Server,電子メールはExchange Server,ファイル・サーバーはWindows Serverといった具合です。ところが,どうやら顧客が混乱していることが分かってきました。顧客からは,「1つのシステムで,1つのストーリで,語ってほしい」という要望があって,それで「Windows Server System」に統一したのです。

 従来は「BackOffice」というブランドがあり,その後,製品数が増える中で,Microsoftの「.NET」戦略の提唱があって「.NET Enterprise Servers」に名称変更しました。しかし,弊社は時折,マーケティングが過剰なところがあります。サーバー・アプリケーションの製品名になんでもかんでも「.NET」という名前を入れて,強調し過ぎてかえって誤った印象を与えてしまいました。

 「.NET」の重要性は,依然として変わることはないのですが,背後に隠れて,もっと企業内のシステムを構築しやすくするものという位置付けになりました。従来の「.NET Enterprise Servers」が持っていた過剰な.NETの印象を変えるため,新しいブランドを模索しました。「アプリオン」とか,「ギャングリオン」とか…(笑)

 Windows Serverをベースにしていること,そして「これは1つのシステムなのだ」という意味を込めて,「Windows Server System」になったのです。

――――「BackOffice」が出てきた時は,Microsoftはコンシューマ向けのソフトウエアだけでなく,「企業向けのアプリケーション群もあるぞ」という意思表示が伝わりました。また,「.NET Enterprise Servers」の時は,「世の中はすべて.NETになるぞ」という意思表示やストーリを感じました。今度の「Windows Server System」は,どのようなストーリがあるのでしょうか。

[Sitner]そのストーリとは,「システム」という言葉に尽きると思います。単なる名称変更ではなく,共通のアーキテクチャの上で利用してもらう製品群になります。

 共通のアーキテクチャというのは,技術やプロトコル,管理など様々なレベルで共通化された上でアプリケーションが動くということです。バックアップのための「VSS(ボリューム・シャドウ・コピー・サービス)」や,ユーザー認証の「Active Directory」,SQL Serverとビジネス分析のための「Reporting Services」,もうすぐ発表のBizTalk Server 2004に搭載される「BAM(ビジネス・アクティビティ・モニタリング)」機能などもそうですね。70億ドルのWindows Server Systemの研究開発費のうち,10億~15億ドルをツール類に投じています。

 これらがWindows Server 2003プラットフォーム上で横断的に機能して,より高い付加価値を提供するのです。単なる複数製品を集めて,呼び習わしているのではなく,"イノベーション"を起こしていきます。また,企業システムはなかなか1つのプラットフォームで済まないケースが多いので,ヘテロ環境のインターオペラビリティ(相互接続性)でもイノベーションを実現していきます。

 企業のITプロフェッショナルやCIO(情報システムの最高責任者)に対して訴求していくには,これらを1つの「システム」として提案していく必要があります。


Garth Fortディレクター
マイクロソフト,サーバープラットフォームビジネス本部アプリケーションインフラストラクチャ製品グループ


――――今後のWindows Server Systemの展開を教えてください。

[Sitner]来週に「BizTalk Server 2004」を発表する予定です。そこにBAMも搭載されます。

――――開発コード名「Jupiter」と呼ばれたプロジェクトが中止になったという話も聞きましたが…

[Sitner]「Jupiter」プロジェクトは中止になったのではなく,ビジョンの設定の仕方,スイート製品の出し方を変えたのです。「Content Management Server」と「SharePoint Portal Server」を一緒にしたポータル製品として考えています。それは今度のBizTalk Server 2004の発表と一緒に明らかにします。

――――今年出るWindows XP SP2では,ファイアウオール機能が改良され,Microsoftのセキュリティ戦略上,重要性が増しています。企業向けのファイアウオール・ソフトである「Internet Security and Acceleration Server」も変わるのでしょうか。

[Sitner]ISA Serverの次期バージョンは開発コード名で「Stingray」と呼ばれるもので,Windows XP SP2のファイアウオール機能とともに大変重要な製品です。恐らく夏前に発表になるでしょう。他にも「Systems Management Server」と「Microsoft Operations Manager」を統合した「System Center」というシステム管理ソフトも発表する予定です。

[Garth Fort氏]3月1日から「Windows Server System」ブランドを定着させるためのキャンペーンを,日本も含めて世界29カ国で行います。

 MotorolaやSiemensなど世界中に展開している企業が,Windows Server Systemをどのように使っているかといった情報を伝えます。伝え方も毎回その企業の現場のITプロフェッショナルにフォーカスした形をとって,彼らに語ってもらい,訴求していきたいと思います。

 事例はどれも面白いですよ。例えばMotorolaの場合,6万5000台のクライアントPCがあって,年間80万件のアプリケーションを更新していました。しかし,SMS 2003とSQL Server 2000,Windows Server 2003を使って,アプリケーションの更新の手間を減らして,年間で24万7000時間の労働時間が削減されました。Siemensでは,190カ国に2900以上の拠点があって,40万人以上の従業員がいます。これらをすべて,少ない人員でActive Directoryを使って管理しているのです。今回のキャンペーンでは,日本企業にも2社登場してもらいます。