■米Microsoftは2005年前半に,SQL Serverの新バージョンである「SQL Server 2005」(開発コード名Yukon)をリリースする予定だ。2004年9月に来日したSQL Serverのプログラム・マネージャであるDon Vilen氏にインタビューを行った。SQL Server 2005の新機能や開発の状況,そして次期Windows「Longhorn」(開発コード名)との関連性などについて聞いた。 ■同氏は,「SQL Server 2005の新機能の開発は既に完了した。これからリリースまでの期間は完成度を上げることだけに力を注ぐ」と製品化が着実に進んでいると述べた。また,「データベース・ミラーリングなど高可用性の機能に期待してほしい」と語った。

(聞き手 中田 敦=日経Windowsプロ)

Don Vilen氏
米Microsoft,SQL Server担当の
プログラム・マネージャ

――――5年振りのバージョンアップとなるSQL Server 2005には様々な新機能が搭載されています。その中でもシステム管理者に一番アピールしたいのはどの機能になりますか。

[Don Vilen氏]データベース・ミラーリング機能です。SQL Server 2005には,常時データベースをミラーリングしておき,障害が発生した場合はそれを自動的に検知して,ミラーリング・サーバーに自動的にフェイル・オーバーするという機能が搭載されます。従来のクラスタリングと比較して,システムのダウンタイムを大幅に削減できるため,高可用性が実現します。

――――SQL Serverの高可用性を実現するのであれば,サード・パーティ製のレプリケーション機能を使うという手もあるでしょう。こういった手法と比較して,ミラーリングにはどのような利点がありますか。

[Vilen]レプリケーションとは,フェイル・オーバーではなくディザスタ・リカバリ(災害復旧)のために,データを分散させる機能であると考えています。サード・パーティ製ソリューションで可能なのは,データをコピーすることだけです。しかし,SQL Server 2005では,トランザクション単位で正確にデータがミラーリングされます。

 また,サード・パーティ製ソリューションは,ストレージ装置の機能として実装されているものもあります。SQL Server 2005のミラーリング機能を利用するのに,特別なストレージ装置は必要ありません。追加のサーバーがあるだけでいいのです。

――――ミラーリング機能を利用するためには,追加のSQL Serverライセンスが必要になるのですか?1つのサーバー・ライセンスでミラーリングができると,非常に喜ばれると思います。

[Vilen]ライセンスについては,現時点で何も決まっていません。

――――その他の新機能についてはいかがですか。 [Vilen]セキュリティについても新機能が追加されます。例えば,SQL Server 2005で利用されるパスワードについて,パスワードの有効期限や長さといったルールを,Windows(Active Directory)のパスワード・ポリシーに統合する機能が追加されます。SQL Server 2005だけでパスワードを管理するのに比べて,管理者の負荷が低減するでしょう。

 またデータの暗号化に関しても,データベース全体を暗号化するのではなく,コラム,行,セル単位で異なる暗号化キーを設定することが可能になります。

――――パフォーマンスに関してアピールできることはありますか?

[Vilen]当然「従来バージョンよりも高速化を図る(Faster Than Before)」ことは,とても重視しています。しかし,これまでのベータ1,ベータ2では,新機能の実装を重視していたので,パフォーマンス・チューニングはそれほど考慮していませんでした。

 新機能の開発はもう終了しました。ですから,夏に発表したベータ3以降ではパフォーマンス向上に特化しています。今後のリリースではパフォーマンスに注目してください。

 また,これまでと全く異なるアプローチでもパフォーマンスの向上を目指しています。その1つが,.NET Frameworkベースのストアド・プロシージャの開発です。新しいストアド・プロシージャは,演算を伴う処理で従来のT-SQLよりもパフォーマンスが向上します。最もデータ・アクセス処理の性能は,従来のT-SQLの方が上です。SQL Server 2005では,目的や内容に応じてストアド・プロシージャを使い分けることになるでしょう。

――――ところで,次期バージョンのWindowsである「Longhorn」(開発コード名)のリリースが遅れています。ファイル・システムに関する新機能である「WinFS」も,当初は搭載されずに後から追加されることになりました。WinFSはSQL Server 2005がベースだと言われています。Longhornが遅れているのは,SQL Server 2005の開発が遅れたからですか?

[Vilen]SQL Server 2005とWinFSは,開発者の重複はありますが,基本的に全く別の開発だと考えています。Longhornの遅れがSQL Server 2005のせいだというのは誤りです。WinFSの搭載がLonghornのリリース後になるのも,WinFSの品質向上に時間をかけたいからであって,開発の遅れというわけではありません。

 Microsoft社内では,既にSAPの業務アプリケーションをSQL Server 2005のベータ版で稼働させています。SQL Server 2005のベータ版を,より多くのユーザーにテストして頂いて,多くのフィードバックが寄せられることを期待しています。