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Q

移動ユーザー・プロファイルを利用し,社内のどこにあるクライアント・マシンでログオンしても,ユーザーが同じデスクトップ環境を利用できるようにしています。しかし,例えばOutlook Expressのようなメール・ソフトの環境に関しては,利用する端末によって異なった内容となってしまいます。ユーザーからは「デスクトップだけでなくメール・ソフトについても複数端末で同じように利用したい」という要望が出ています。どのようにすれば,メール・ソフトのデータを移動ユーザー・プロファイルの対象に含めることができますか?

A

移動ユーザー・プロファイルでは,ローカル・プロファイル内のいくつかのフォルダにあるデータは同期の対象から除外しています。これには,主にログオン時のトラブルを未然に防止するという理由があります。

 移動ユーザー・プロファイルの対象となっているデータは,基本的にログオン時にサーバーから各クライアントにコピーしてきます。このため,大きすぎるデータが含まれていると,トラブルの原因となりやすいからです。

メールは移動プロファイルの対象外
 Outlook Expressのようなマイクロソフトのメール製品は,各ユーザーのプロファイル・フォルダにデータを保存しています。例えば,OutlookExpressは,%UserProfile%\LocalSettings\Application Data\Identities\{ (GUID)}\Microsoft\OutlookExpressに,Microsoft Outlookは%UserProfile%\Local Settings\ApplicationData\Microsoft\Outlook\にデータを格納しています(%User-Profile%は通常C:\Documents andSettings\ユーザー・アカウント名)。

 メールのデータは一般にファイル・サイズが大きくなりやすいことから,このようにOutlook系のメール・ソフトでは,デフォルトで移動ユーザー・プロファイルの対象外となる「\LocalSettings」下のフォルダにデータを保存するよう設定されています。

 これらのメールのデータを移動ユーザー・プロファイルに含めるには,(1)メール・データの保存先を移動プロファイルの対象となっているフォルダに変更する,(2)%UserProfile%\LocalSettingsフォルダを移動ユーザー・プロファイル対象フォルダとする――のいずれかの方法があります。


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図3●Outlook Expressのデータ保存先は[ツール]-[オプション]の[メンテナンス]タブから変更できる

 最も簡便な方法は前者の(1)です。例えばOutlook Expressでは,[ツール]-[オプション]の[メンテナンス]タブにある[保存フォルダ]でメールの保存場所を変更できます(図3)。このときに,Outlook Expressでは移行先のフォルダとして\Identities以下については変更しないようにするとスムーズに移行できます。なお,この操作をする前に,隠しフォルダである%UserProfile%\Local Settingsフォルダを表示するよう,フォルダ・オプションをあらかじめ変更しておく必要がある点にも注意してください。


 (2)のメールを保存するフォルダを移動対象フォルダにする場合には,レジストリを変更する必要があります。具体的には,HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon\ExcludeProfileDirsのレジストリ値の内容から,「Local Settings」の文字列を取り除きます。

 なお,この除外設定は既定の内容のため,グループ・ポリシーなどでは上記と同様の設定をすることはできません。設定したい各端末上で変更作業をする必要があります。

フォルダのリダイレクトでも共用可能
 メールのデータを複数の端末から共通に利用するという目的を実現したいのならば,移動ユーザー・プロファイル以外にグループ・ポリシーのフォルダ・リダイレクトを利用するという方法もあります。

 これは,ユーザーが日常使っている特定のフォルダについて,ローカルのクライアントではなく,サーバーの共有フォルダに対して透過的に読み書きさせるというものです。これにより,サーバー上で直接管理できるようにします。データをサーバー上に置くため,バックアップなどの管理がしやすいという利点があります。


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図4●グループ・ポリシーのフォルダ・リダイレクトを利用してもサーバー上に置いたデータを複数のクライアントから共用できる

 具体的な手順としては,まずメール・データの保存場所をローカル・プロファイル内のマイドキュメントなどに設定してから,グループ・ポリシーでマイドキュメントをネットワーク上にフォルダ・リダイレクトさせます。これは,グループ・ポリシー・エディタから[ユーザーの構成]-[Windowsの設定]-[フォルダリダイレクト]から設定が可能です(図4)。

 このときに,アプリケーションのデータを保存している「%UsesrProfile%Application Data」も同時にリダイレクトすれば,このフォルダに保存されたアプリケーションのデータもサーバーに直接保存することができ,よりスマートに運用できるように思えます。しかし,利用しているアプリケーションによっては,設定データをリダイレクト元に置いてもリダイレクト先には自動的に反映されないなどの問題が発生する場合があるので注意が必要です。

リダイレクトのほうがログオン時間は短縮
 このフォルダ・リダイレクトを使う方法では,ネットワーク上にあるデータをメール・ソフトから直接に利用する形となります。そのため,毎回サーバーをアクセスするためネットワーク負荷が通常より高くなりますが,ログオン時にコピーしないのでログオン時間が増大しない利点があります。

 一方,移動ユーザー・プロファイルは,クライアント側の設定作業だけで済みますが,ログオン時にメール・データをローカル・プロファイルにコピーします。そのため,ログオン時間が通常より増えてしまいます。

 前述したように,一般にメール・データは大きくなりがちなので,元々は移動ユーザー・プロファイルの対象から除外されています。そのため,移動ユーザー・プロファイルに含める場合には,ログオンにかかる時間の延滞(ネットワークからのコピーに時間がかかる)やネットワークの輻輳などについて慎重に検討する必要があります。

 一方,メール・ソフトの種類によっては,そもそもネットワーク上にメール・データを置くことができないものもあります。フォルダ・リダイレクトを利用する場合は,その点を確認してください。

小鮒 通成