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 損害保険ジャパン(損保ジャパン)は,グリッド・コンピューティングを自社の業務に適用できることを実証した。システム構築を支援したNTTデータが3月30日に明らかにした。グリッド・コンピューティングは,分散配置した複数のコンピュータの処理能力を仮想的に1台のコンピュータとして扱えるようにする手法。損保ジャパンは,NTTデータのグリッド・コンピューティング構築サービス「cell computing」を利用して,システムを構築。2004年1月に発売した自動車保険の新商品「ONE-do」の投入に先立ち,その収益性を分析するために,2003年11月14~15日と同17~24日の計10日にわたり同システムを利用した。

 両社が共同で構築したのは,損保ジャパンの収益性を分析するシステム。損保ジャパンの社員が業務に利用している約40台のパソコン(Pentium III 800MHzのCPUを搭載)に,サーバーと連携して収益額を試算する専用ソフトをインストールし,並列分散処理で増益額を算出した。具体的には,パソコンが遊休状態となる夜間/土日/祝日に,約1000万件の自動車保険の契約データをサーバー上で小分けし,パソコン上の専用ソフトに配布。パソコン上で新商品の提供前後の収益を算出し,結果をサーバーに送り返した。サーバー上でこれら結果を集計し,提供前後の差額を調べることで,新商品による増益見込額を算出できた。1台のパソコンでは311日かかる分析処理が,10日間で完了したという。

 グリッド・コンピューティングの技術は,遺伝子解析など学術用途で利用が進んできたが,ビジネス分野の業務に適用されることは,まだ少ない。NTTデータは今後,ビジネス用途の利用を促進するために,並列演算のアプリケーションにマイクロソフトの表計算ソフト「Excel」を使えるようにする計画だ。アプリケーション・ロジックの実装やカスタマイズを容易にし,利用の敷居を下げるねらいがある。例えば,販売条件から販売利益を導出するようなExcelシートを作り,販売条件を総当たりさせることで,利益を最大化する条件を見つけ出すなどの処理が可能になる。NTTデータは,Excelの呼び出しに特化した専用ソフトや,テンプレート代わりに使えるExcelワークシートなどを整備し,2004年中に製品化する予定である。

 Excelを利用する場合の動作イメージは,次のようになる。まず,サーバーから分析すべきデータを受け取った専用ソフトは,Excelを起動して特定の表計算シートを読み込み,VBA(Visual Basic for Applications)マクロを起動する。Excelでの計算が完了したら,特定のカラムの値を専用ソフトで抽出し,サーバーに送り返す。複数のExcelから受け取った計算結果を,サーバー上で集計/評価する。

(実森 仁志=日経システム構築)