Oracle Real Application Clusters 10gは, 標準化された低価格のコンポーネント群で構成される エンタープライズ・グリッドをささえる基盤テクノロジとなった。 高可用性の強化と,新たなワークロード管理機能により本格的な24時間365日の連続稼働を目指す。

図1●Oracle Real Application Clusters 10gの主な新機能
図1●Oracle Real Application Clusters 10gの主な新機能
新たに提供されるクラスタリング・ソフトやApplication Server 10gに実装されているワークロード管理機能を利用することで,“エンタープライズ・グリッド”の基盤として拡張性の可能性を広げる
 Oracle Real Application Clusters(RAC)10gは,エンタープライズ・グリッドのための主要な基盤テクノロジである。前版Oracle9i RACはキャッシュ・フュージョン*1により,高可用性とスケーラビリティの両立を実現した。そして,Oracle Database 10gとOracle RAC 10gでは,運用コスト削減のための新機能を装備する。また,ノード,ストレージ,CPU,メモリーの動的なプロビジョニングにより,サービス・レベルをより容易かつ効率的に維持できる。

高可用性とワークロード管理を充実

 Oracle RAC 10gの主な特徴は5つある(図1[拡大表示])。(1)Oracle RAC 10g専用の独自のクラスタウエアを提供することで,(2)フェールオーバー時間を短縮した。(3)システムの負荷状況に応じて,動的な負荷分散や,ノード拡張が可能となり,(4)CRMやERPといったサービス単位でワークロード管理を可能にした。また,(5)停止時間ゼロでパッチが適用できるローリング・アップグレードの機能も実装されている。

 特に,クラスタのワークロードを管理する新しいフレームワーク「サービス・フレームワーク」の導入によって継続的なサービス提供が可能となる。サービス・フレームワークは,クラスタ内の複数ノードに対しサービス(アプリケーションのワークロードの論理的なグループ)を割り当てる。そのため,クラスタ環境を個別のノード単位ではなく,シングル・システムのイメージで管理できる。さらに,特定のサービスのパフォーマンス・レベルを監視・管理することで,継続的にサービスを提供する。

RACに組み込まれたクラスタリング・ソフト

 Oracle RAC 10gで,Oracleは統合クラスタウエアを自ら提供する。統合クラスタウエアは,Oracle RAC 10gの主要コンポーネントとして組み込まれ,Oracle RAC 10gを実行するすべてのプラットフォームで利用できる。また,クラスタの接続,メッセージ交換とロック,クラスタ管理とリカバリ,サービス提供フレームワークなどのメカニズムを含む。ただしOracle RAC 10gでは,引き続きサード・パーティのクラスタリング・ソフトも使用できる。

図2●Cluster Ready Services(CRS)の位置付け
図2●Cluster Ready Services(CRS)の位置付け
統合クラスタリング・ソフトの中核を担うCRSは,クラスタ内で発生するイベント(ノードの起動,停止,モニタリング)や各種リソースを管理する

 Oracle RAC 10gの統合クラスタウエアには,主に次の4つの利点がある。第1に,新たなソフトを購入したり,追加料金を支払ったりすることなく,Oracle製品のみでクラスタ構成が可能となる。第2に,Oracle RAC 10gと統合されていることにより,インストールや設定,継続メンテナンスが簡素化される。第3に,Oracle RAC 10gが動作するすべてのプラットフォームで同じ機能が提供され,すべてのプラットフォームで最大64ノードで稼働できる。最後に,Oracle RAC 10gのみでイベント管理ができることにより,データベース層だけでなく,アプリケーション層でもフェールオーバー時間を短縮することが可能となる(表1)。

 クラスタ内のワークロード管理や高可用性を実現するために,Cluster Ready Services(CRS)と呼ばれるコンポーネントが新規に提供された(図2[拡大表示])。CRSは,統合クラスタウエアの一部であり,サード・ベンダーのクラスタリング・ソフトの有無に関係なく,Oracle RAC 10gを構成する上で必須のコンポーネントとなる。具体的には,クラスタ内で発生する各種リソースやノードの起動・停止のイベントの監視や各ノードのモニタリング,グループ内のメンバーシップ情報など管理するデーモン(プロセス)群である。

表1●9i RACとRAC 10gのフェールオーバー時間の違い
  DBサーバーの
フェールオーバー
APサーバーの
引き継ぎ時間
トータル・リカバリ
時間
9i RAC 10~60秒 数分 数分
RAC 10g 8秒未満 4秒未満 12秒未満